嵐に遭遇したら荷物を捨てることも 北前船の歴史、児童ら学ぶ

北前船の模型を使い、炊事場の位置を教える加藤さん(左)=宮津市由良・由良郷土資料館

 北前船について学ぶ授業が、京都府宮津市由良の由良郷土資料館(由良神社境内内)であった。地元の栗田小6年の5人が当時の資料を見学し、壮大な航海の歴史を学んだ。

 郷土愛を育む「ふるさとみやづ学」の一環で、児童たちは北前船にちなんだ商品づくりを目指している。同館が昨年5月に移転したのを機に9日、初めて校外で行われた。

 紙芝居で北前船を伝える森山道子さん(78)=同市喜多=は、出航から帰港までの道のりについて、大阪から日本海経由で各地の港に寄って塩や米を調達・販売し、その資金で北海道のニシンや昆布を仕入れていたと説明した。「嵐に遭遇したら荷物を捨てて船を軽くした」と、航海の大変さも説いた。

 由良の歴史をさぐる会の加藤正一さん(79)=同市由良=は船の模型を使って炊事場を紹介したほか、当時使われていたコンパスを児童たちに手渡し「旅の頼りはこれだけ」と言って驚かせた。参加児童の1人(11)は「嵐を乗り越えて航海した北前船のすごさを伝えられる商品をつくりたい」と話していた。

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