ポステコグルー監督、母国でのスパーズ初陣前にケイン&ロリスの去就に言及

[写真:Getty Images]

トッテナムを率いるアンジェ・ポステコグルー監督が、エースや守護神の去就について言及した。イギリス『フットボール・ロンドン』が伝えている。

セルティックでの国内3冠達成を置き土産に、新シーズンからトッテナムの新指揮官にステップアップしたポステコグルー監督。

現在、アジア・オセアニアでのプレシーズンツアーに参加しているオーストラリア人指揮官は、18日に母国パースで行われるウェストハムとのプレシーズンマッチに向けた公式会見に出席。新天地での初陣を前に注目される主力の去就など、幾つかのトピックについて語った。

今夏、トッテナムで最も注目を集めているのが、バイエルン行きが盛んに取り沙汰されるイングランド代表FWハリー・ケインの去就。先日にはバイエルンの名誉会長であるウリ・ヘーネス氏による、スパーズエースのミュンヘン行き熱望との発言が物議を醸した。

そういったセンシティブな状況の中でポステコグルー監督は、チーム合流後のケインとのコミュニケーションについて語っている。

「ハリーとは良い話ができたよ。(最初の記者会見で)前にも言ったように、人々が求めているような、地球を揺るがすような決定的なことは何もなかった」

「ただの良いおしゃべりだった。私は彼に自己紹介をし、主にクラブについて、そして彼がクラブの現状と改善の余地があると考えていることについて話した。それ以来ずっとトレーニングを続けてきたが、とても良い状況だ」

「(クラブに関する話し合いの内容は?)それは一人の特定のビジョンではなく、グループに関するものだ。私とハリーはその点で完全に一致しており、今年はチームが成功するのを見たいと思っている」

「私にとって重要なのは、全員に重点を置き、環境を適切に設定することだ。プレーヤーたちはこれまでのところ素晴らしく、我々がやろうとしていることを非常に受容的でオープンな気持ちで受け入れてくれている。コーチたちはそのメッセージを伝えることに見事に取り組んできた」

「できる限りでポジティブだよ。それこそプレシーズンというものだ。試合が始まるまでは素晴らしいプレシーズンだと誰もが思っていると思うが、これまでのところは間違いなく良かったよ」

さらに、ケインをチームにとどめておけるかとの、さらに突っ込んだ質問に対しては、前回の会見同様に明言を避けている。一方で、ヘーネス氏の前述の発言に対しては、やはり少なからず不快感を覚えていたようだ。

「繰り返しになるが、先日のやり取りはそれ(去就)に関するものではないと言っている。それはむしろグループとしてのことであり、我々が何をしているのかについてだった。それについてはハリーも他のプレーヤーも同じだ」

「我々はグループとして懸命に取り組んでいる。全行程を続けられる人もいれば、そうでない人もいる。しかし、その多くは途中で決まってしまう。それは私が最初から座って人々に要求するものではない」

「実際のところ、シーズン開幕まであと1カ月弱あるし、移籍市場はまだしばらく開いており、すべてがどうなるか見てみるつもりだ」

「(ミュンヘン本面からの雑音の影響はあるか?)私個人としては、ノーだ。ミュンヘンから誰も私に話しかけてきていない」

「議論は行われていない。私よりもハリーのことをよく知っている人はたくさんいるが、彼は何事にも動じることはない。彼はここにいて、ここにいる間、我々がやっていることに全力で取り組んでいる」

「そのようにして私は物事を見てきた。私に関して言えば、それは何も影響を与えない。ただ、他のクラブが我々と契約しているプレーヤーについて話したがるのならば、それは我々よりも彼らにとって問題だ」

一方、今夏の退団希望を明言し、クラブからの許可を得て今回のツアーに不帯同となった元フランス代表GKウーゴ・ロリスについても言及。ケインとは異なり、こちらは元守護神とのやり取りについてより明確に説明している。

「ウーゴとも楽しくおしゃべりしたよ。彼はかなり長い間、このフットボールクラブの傑出した奉仕者だった。クラブのキャプテンであり、トッテナムに消えない足跡を残した。彼と話をしたところ、プレーしてキャリアの次の段階を始めるために、どこか別の場所への移籍を望んでいるようだった。私は彼とよく話し、彼がツアーに同行するかどうかは彼に任せた。なぜなら、彼は自分の将来の方向性を決めるのにそのような敬意を払うに値すると思うからだ」

「彼とは2、3回話しただけだが、練習中でも彼が優れたGKであるだけでなく、優れた人間であることが分かる。私の観点からすると、我々はオープンな議論を交わしたが、彼は移籍が差し迫っており、地球の裏側まで連れて行くよりも練習場に留まり、そこで働き、次の機会に備える方が自分にとって良いだろうと感じたのだろう」

「それは彼がこのクラブに貢献してきたものを減じるものではない。 フットボーラーにとって、結末を書けないのは最も難しいことだ」

「おそらく、これまで彼が貢献してきたすべてを残してトッテナムでの時間を終えることは、彼が望んだ形ではないだろうが、同時に、彼がトッテナムで功績を残した人物として去るという点で、それはポジティブな結果以外の何ものでもないと思う。非常に大きなクラブであり、すべてのプレーヤーにとって、それが彼らが探しているものだと思う」

また、ロリス退団によって空席となるキャプテンに関しては、今後の状況を見て考えたいとしている。

「(新キャプテンをすでに決めているか?)いいや、まだだ。繰り返しになるが、私がグループを知り、それが発展するようにすることが重要だ。それらの中には、強制したり先入観を持つよりも、自然に成長させたほうが良いものもある。グループがどのように機能するかを見たいだけだ」

「そして、私が言ったように、これまでのところ、グループ全体がこれからやろうとしていることにコミットするという点で非常に強力であり、それが見たいものだ。その中には、リーダーシップを発揮しようとする人もいるが、彼らは皆、さまざまな方法でリーダーシップを発揮する」

「それは常に最も声高に、あるいは最も注目を集めているわけではない。時には行動によってもたらされる。私が求めているのはグループ全体の中でのリーダーシップだ。我々がこれから始めようとしていることに対して、ある程度の責任を負う準備ができている人たちだ」

最後に、奇しくも母国で戦うことになったトッテナムでの初陣に向けては不思議な感覚はあるものの、素直に喜びを表している。

「公平に言っても、かなり奇妙だよ。世界中のどこにでも行って、最終的には自宅から4時間半かかるところだったかもしれないが、オーストラリアに戻ってきたのは素晴らしいことだ。これが我々にとって初めての公式戦になるし、とても嬉しく思う。私はいつも楽しんでいるよ」

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