犬に飲ませる水は『常温』『冷水』どっちがいい?愛犬に与えるべき水の常識とは

犬に飲ませる水は常温?冷水?

みなさんは愛犬の飲み水を、どのように用意していますか。ミネラルウォーターやウォーターサーバーの水を与えている人もいるかもしれませんが、水道水をそのまま与えるという人も多いのではないでしょうか。

何気なく与える水ですが、特に暑い季節や凍えるほど寒い季節には、「常温の水でいいのかな?」と疑問に感じることもあると思います。

結論から言うと、犬の飲み水は基本的には「常温」がいいとされています。厳密に言えば「常温」には様々な定義があるようですが、一般的には15~25℃程度の水が犬の体に負担をかけにくい温度だと考えられています。

季節に合わせて水の温度を変えてもいい?

暑い時期や運動後に息を切らしている愛犬を見ると、「冷たい水を上げた方がいいかな」と思う飼い主さんもいるでしょう。反対に寒い季節には、体をあたためるためにお湯を与えようかと考えることもあるかもしれません。

しかし、基本的にどのような季節であっても、特別冷やしたりあたためたりする必要はなく、水道から出てくる温度の水を与えれば問題ないでしょう。

ただし、「冷たい水やお湯を与えるのは絶対にダメ」というわけではないので、時には少し冷やした水を与えたり、お湯を混ぜてぬるい状態にしたりしてもいいでしょう。冷たい水を与えすぎると腹痛や下痢を引き起こしますし、お湯の温度が熱すぎると口内をやけどすることもあるので、加減をしながら与えるようにしてください。

また、子犬や老犬は消化器官が弱い場合も多いため、冷たすぎる水には特に注意しましょう。冬場に水道から出した水が冷たすぎると感じた場合は、少量のお湯をくわえて20~30度程度に調整してあげてもいいと思います。

犬の飲み水はどれくらい与えるべき?

飲み水は、犬の健康を守るために絶対に必要なものです。十分な量の水が与えられないと、内臓の動きが鈍くなったり、脱水症状を起こしたりします。特に暑い季節は熱中症にかかるリスクが上がるため、犬がいつでも水を飲める状態にしておく必要があります。

犬の1日の水分摂取量は、一般的に体重1kgあたり約40ml〜60mlとされています。5kgの犬であれば約200ml〜300ml、15kgの犬は約600ml〜900ml、25kgの犬は1,000ml~1,500mlが目安となります。

犬のライフステージや季節、活動状況によって水の摂取量は変動しますが、目安量を参考にして適切な量の水を飲めるようにいつも用意しておきましょう。

犬に水を与えるときの注意点

では、犬に水を与える際には具体的にどのような点に注意すべきなのでしょうか。

長時間置きっぱなしにしない

犬の飲み水は、いつでも飲めるように部屋やケージの中に置きっぱなしにしていると思います。確かに水を常に置いておくことは大切ですが、同じ水を長時間置きっぱなしにしていいというわけではありません。

水にはほこりやゴミが入ってしまうこともありますし、犬が一度でも口をつけていれば雑菌が繁殖する可能性もあります。そのため、水が残っているからといってそのままにするのではなく、数時間おきに新しい水に入れ替えてあげるといいでしょう。

長時間留守番をさせるときは、水にゴミが入ったり容器を倒してしまったりする心配が少ないボトルタイプのものや、循環型のウォーターボウルを使用するのがおすすめです。

公園などでは蛇口から直接飲ませないこと

散歩の途中で、犬に水分補給をさせることも大切です。公園などで水を与える際、蛇口から直接飲ませている飼い主さんを時折見かけますが、それは絶対にNGです。

犬の口には様々な常在菌がいて、人間の体に入ると悪影響を及ぼすものもあります。そのため、蛇口を汚してしまわないように、必ず容器に水を入れて与えるようにしてください。

まとめ

犬に与える水は、基本的に「常温」で用意するようにしましょう。冷たすぎる水では腹痛や下痢、熱いお湯では口内や食道の火傷を引き起こす恐れがあります。

また、水は犬が飲みたいと思ったときにいつでも飲めるようにしておきましょう。特に暑い季節は、水分不足で熱中症に陥るリスクも高まるので積極的に水を飲ませるようにしてください。

愛犬が水を飲み量や頻度が、いつもと異なり極端に多いまたは少ないということがあれば、体調に異変が起きていることもあります。日常的な健康管理の一環として、飲み水にもしっかり注目してみてください。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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