穀物合意離脱のロシアに非難集中 安保理で日米欧、復帰要求

国連本部で記者団に話すグテレス事務総長=17日、米ニューヨーク(共同)

 【ニューヨーク共同】国連安全保障理事会は17日、ウクライナ情勢を協議する公開会合を開いた。黒海を通じたウクライナ産穀物輸出に関する同国とロシア、トルコ、国連の4者による合意から離脱したロシアに対し、食料危機を懸念する日米欧から「世界の他の地域を人質にしている」(武井俊輔外務副大臣)などと非難が集中。合意復帰を要求する声が相次いだ。

 国連のグテレス事務総長は記者団に「非常に残念だ」とロシアへの失望を表明。食料価格が高騰すれば「困窮する全ての人々にとって打撃になる」と懸念し、ウクライナ産穀物の輸出継続を目指して打開策を模索すると述べた。

 ウクライナのクレバ外相は安保理会合で「ロシアはアジアとアフリカなどの最も弱い立場にある人々を傷つけ、飢えをもてあそぶのをやめるべきだ」と語り、合意離脱の影響は各国に波及すると強調した。

 米国のトーマスグリーンフィールド国連大使も食料危機が悪化すれば貧しい地域が最も影響を受けると指摘。合意離脱を「残虐な行為だ」と表現した。

ウクライナ情勢を協議する国連安保理の公開会合=17日、ニューヨーク(ロイター=共同)

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