群馬県がガン探知犬育成プロジェクトに資金導入を発表

日本での医療探知犬の研究

犬の優れた嗅覚を使ってガンなど様々な病気を、呼気や汗の匂いで探知する医療探知犬の研究や、育成についてのニュースは近年特に増えています。

これらの研究のほとんどは外国での話ですが、日本国内では2017年〜2018年に山形県金山町で、試験的にガン探知犬を健康診断に導入した例がありました。

このたびは群馬県が、ガンなどの疾患を探知する医療探知犬を育成するプロジェクトに、1億2400万円を予算計上するという発表を行ない、話題となっています。

探知犬医学の研究者を全国から募集

群馬県が打ち出したこの研究は「探知犬医学研究」と名付けられ、同県の食品・生活衛生課が全国から研究者とプロジェクトを募集しています。採択されるプロジェクトは2件で、うち1件はガンに関する課題が優先されるとのことです。

採択されたプロジェクトには、3年間の契約期間に対して最大3,000万円が提供され、研究に必要な犬の購入や育成費用も予算で賄われます。

同県知事は昨年、医療探知犬が実際に活躍しているフィンランドを視察のために訪問しており、ヘルシンキ空港で医療探知犬が新型コロナウイルスの陽性者発見のために働いているのを目にしたそうです。

犬による探知はPCR検査よりも結果が早く簡便である上に、精度の点でもほとんど変わらないことがわかっているといいます。

従来の新型コロナウイルスの検査には、人員や検査キット、サンプル収集のための手間と時間がかかり、検査後には大量の医療廃棄物が出てしまいます。医療探知犬による検査は精度の高さに加えて、このようなデメリットを改善することも期待されます。

また探知犬医学研究にあたっては、ヘルシンキ大学の研究者を日本に招いて助言指導も受ける予定とのことです。

医療探知犬の現在と未来

新型コロナウイルスの探知犬はフィンランド以外の国でもすでに数多く導入されています。

コロナウイルスの他にもさまざまな感染症の陽性者探知、てんかん患者の発作や糖尿病患者の低血糖を、事前に感知して患者や介護者に知らせる役割など、医療探知犬は世界の多くの国で実際に活躍しています。

ガン探知犬についても、世界の多くの国で研究と犬の訓練が行われており、アメリカやイギリスでは試験運用が行われ実用化も目前に迫っています。

医療探知犬によるガンのスクリーニングは、患者への身体的な負担が小さいのもありがたい点です。

今回は群馬県が主導しての探知犬医学研究ですが、このような動きをきっかけにして将来は国が全国の研究者をバックアップし、サポートするようなシステムができれば理想的ですね。

まとめ

群馬県が、ガンなどの病気を探知する医療探知犬についての研究者を募集し、研究資金を提供すると発表したという話題をご紹介しました。

病気のスクリーニングのための探知犬研究の他にも、てんかんや糖尿病患者に付き添う形で働く医療探知犬は、患者のQOL向上や命を救うためにも重要です。日本でも医療探知犬の研究が本格的に行われる第一歩となればいいと願います。

《参考URL》
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/296899
https://www.pref.gunma.jp/site/nyuusatsu/204025.html

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