面会制限緩和、喜びと模索 岩手県内の高齢者施設や医療機関

小笠原公子さん(左)に話しかける夫努さん(中央)と長女恩さん=矢巾町広宮沢・敬愛荘

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類となり、岩手県内の高齢者施設や医療機関は、入所者や入院患者との面会制限を少しずつ緩和している。オンラインの画面越しではなく、じかに会えるようになった家族は「日常が戻ったようだ」と喜ぶ一方、高齢者の感染は重症化リスクも。「ウィズコロナ」の動きが加速する中、感染対策との両立をどう進めるか、模索が続いている。

 「久しぶり、元気かな」。盛岡市羽場の小笠原努さん(88)が声をかけると、妻公子さん(81)の表情がぱっと明るくなった。今月上旬、矢巾町広宮沢の介護老人保健施設「敬愛荘」を長女の恩(めぐみ)さん(57)と訪れ、入所する公子さんと対面した。

 同施設はコロナ禍の面会をオンラインに限ってきたが、5類移行後はマスク着用の上、1回の人数は中学生以上2人に絞り、平日午後2時~同4時に15分以内で面会できるようにした。混み合うのを避けるため、予約制、一家族2週間に1回までとしている。

 国は高齢者施設や医療機関での面会について、利用者の心身の健康を考慮し実施するよう促している。ただ高齢者は感染すると重症化するリスクがあり、感染対策をどこまで緩和させるか難しいとの懸念から、対面での面会再開を足踏みする施設も少なくない。

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