ジェーン・バーキンが76歳で死去、女優・歌手として活躍

英国風の優雅さ、自然なスタイル、社会活動でフランスを魅了した女優で歌手のジェーン・バーキンが現地時間2023年7月16日に76歳で亡くなったことがわかった。

英ロンドン生まれで、ファッション・アイコンでもあった彼女は、フランス人歌手の故セルジュ・ゲンズブールとの公私にわたるパートナーとして知られた。2人の曲には、官能的な「Je t'aime… moi non plus」などがある。故バーキンの優美で英国訛りの歌声とゲンズブールの荒々しいバリトンが交錯する1969年のデュエットは、彼女を一躍有名にし、バチカンの新聞で非難された後、イタリアでは放送禁止となった。

前髪のあるロングヘア、ジーンズに白いトップスやニットのミニドレスにかごバッグなど、1960年代から1970年代初頭にかけて故バーキンが見せたスタイルは、今でも世界中の多くの女性にとってフランス的なおしゃれの極みとなっている。

また、彼女の名前はエルメスを代表するバッグの由来にもなっている。彼女に敬意を表して1984年にエルメスが作ったバーキン・バッグは、世界で最も高級なアイテムのひとつとなり、超高額な値段にもかかわらず、数年に及ぶ入荷待ちのリストができるほどだ。

故バーキンは、アムネスティ・インターナショナル、ミャンマーの民主化運動、エイズ撲滅などの政治活動でもフランスで称賛された。2001年、バーキンは「常に何かすることができる」と話し、拷問に反対するアムネスティのキャンペーンの支援を呼びかけながら、「“私はそれでいいと思わない”と言うことができるのです」と述べていた。

彼女は2008年、5人の僧侶と共に【カンヌ国際映画祭】を行進し、サイクロン被害者救済のためミャンマーに海外救援隊員を入国させるよう要求した。2022年には、フランスで他の俳優や歌手たちと共に、イランのデモ隊を支援するために髪を切った。その際、娘のシャルロット・ゲンズブールは、イランで反政府デモが拡大する中、“HairForFreedom”キャンペーンのために故バーキンの髪の一部を切り落とした。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、故バーキンの柔らかな歌声が“熱心な”活動と同調していたと指摘しながら、彼女を「完璧な芸術家」と称えた。彼はSNSに「ジェーン・バーキンは自由の化身であり、我々の言語で最も美しい言葉を歌い、フランスの象徴だった」と投稿した。

フランスのメディアは、故バーキンがフランス・パリの自宅で遺体で発見されたと報じた。フランス文化省は、故バーキンが現地時間7月16日に亡くなったとツイートし、彼女を“時代を超えたフランス語を話すアイコン”と称えた。また、リマ・アブドゥル・マラック文化相は、故バーキンを「最もフランス的な英国人」であり、「常に流行をリードする時代の象徴」だったと呼んだ。

故バーキンの初期の映画出演作には1966年の『欲望』があり、彼女の“スウィンギング60s”スタイルと美貌をフランスの観客に知らしめたとされている。この2年後に、故バーキンと故ゲンズブールは出会い、1980年に破局後も彼のミューズであり続けた。

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