小さな旅行会社のコロナ禍奮闘記! -2-

前回:

オンラインツアーへのチャレンジと失敗

ツアーの中止後は、旅行会社として何をやっていいものか全くわからず、打開策ないまま1か月が過ぎました。

そんな時、介護施設で働いている友人からの薦めで、外に出られない介護施設の方向けに、当時はやり始めだった会議システムzoomを使って初めてのオンラインツアーを企画しました。

東京トラベルパートナーズ 介護施設向けに始めた会議システムzoomを使ったオンラインツアー

3月20日に企画をして、1週間後の満開に合わせて実施。時間がない中、メールマガジン1本で20施設以上の方に申し込んでいただきました。上野公園、代々木公園から社員みんなでスマホ配信するという起死回生を狙う企画でした。(この時期にオンラインツアーを実施したのは旅行会社の中でも大分早かったのではないかと思います)

しかし、世の中そんなに甘くなく、結果的にこの企画は大きな失敗で終わりました。

会議システムで満開の桜の白い花びらを映すと情報量が多く映像が固まってしまったり、カクカクした映像となり、満足していただけるようなサービスでは全くなく、企画としても中途半端。これを続けても意味はないなという事で1回で企画は終了となりました。

この時点でオンラインツアー以外にアイデアはなく、他に打つ手もなくなり、4月1日、会社として存続していくために従業員は2名を残してグループ会社に出向してもらうこととなりました。

そこからしばらくはあまり記憶がありません。4月7日に緊急事態宣言が発令され、テレワークが普及し、飲食店は時短営業を行いだしたそんな状況の中、家を出ることに。神奈川県に住んでいる田舎気質の家族から自主隔離のため、新宿で一人暮らしをはじめたのです。夜は不安で寝むれなくなり、酒に頼り日々を過ごしていた気がします。

ゴールデンウィーク中、補助金、助成金関係の提出は一通り終わってしまいました。

仕事は何もなく、次へのアイディアもなく、全くやることがないため、過去の契約書や書類の整理整頓をしながら、ぼ~っとオフィスで1人、テプラ(シールを作る機械)を使ってファイルに貼るシールをひたすら作っていた記憶があります。

この頃はただひたすら辛く苦しい状況で、売上げはゼロ、社員は出向のまま、打開策も出せない自分への失望で落ち込んでいました。コロナ騒動が終わったら、借金返して経営も辞めようと考えるほど追い詰められていました。

追い込まれてからの快進撃!!?

東京トラベルパートナーズ オンラインツアー撮影の様子

振り返ればここが落ち込みのピークでもありました。

コロナ禍以前に申請していた、「ものづくり補助金」が採択され、介護施設向けレクリエーションプラットフォーム開発事業として1,500万円の補助金をもらえる事となったのです。

それを使って何をやろうか、多くの方の意見も聞きながら、本気で考えて抜いて導き出した答えが、もう一回オンラインツアーに挑戦することでした。

介護施設向けの旅行会社として、行きたくても行けない皆さまに向けて、誰も経験したことのないクオリティの高いオンラインツアーを配信する。生中継で高画質、インタラクティブ性がありテレビの旅番組に参加しているようなサービスが作れたらお金を払ってでも見てくれるのではないか。

これで行こう。そう決めたらそこからは怒涛のように突き進んでいく毎日がまた始まるのでした。

(つづく)

寄稿者 栗原茂行(くりはら・しげゆき)東京トラベルパートナーズ㈱代表取締役社長

© 株式会社ツーリンクス