さくらのお丸山公園にオブジェ完成 彫刻家清宮さん、大谷石で彫刻 「ウインド」と命名

完成した作品と収まる小林さん(左)と清宮さん。背景はスカイタワー

 【さくら】喜連川のシンボルとされるお丸山公園の活性化に寄与できればと、同公園に隣接する「お丸山ホテル」が制作を進めていたオブジェが17日、完成した。ニューヨーク在住の彫刻家清宮大輔(きよみやだいすけ)さん(48)が手がけ、10日間かけて仕上げた。大谷石を使った縦、横、奥行きとも約1.3メートルのオブジェはお丸山の名にちなみ、丸みを帯びた輪郭が特徴。中心に丸い空間を設けており、清宮さんは「お丸山にやさしい丸い風が吹くといい」との思いを込めたという。

 オブジェは大地と空をつなげる意味で「ウインド(風)」と名付けた。同公園内に設置し、スカイタワー(休止中)とともに親しまれる存在を目指す。

 お丸山ホテルは2021年4月、旧「ホテルニューさくら」を全面リニューアルしてオープンした。運営は早乙女のゴルフ場、セブンハンドレッドのグループ会社で不動産管理事業の「住地」が担っている。

 同社の小林忠広(こばやしただひろ)社長は、運営開始当初から「地域と一緒にこの場所を盛り上げたい」との思いを持ち、市や商工会関係者も「お丸山公園の再整備も含め、ホテルと一体となった観光拠点作りを」との考えを示していた。オブジェの設置は、地域活性化の先陣を民間企業が切る形だ。

 清宮さんは25年間、米ニューヨークに居住し、現地で歴史的な建造物の修復を手がけている。その一方で彫刻家として活躍。1875年に設立された母校の美術学校、アート・スチューデンツ・リーグで秋から彫刻の授業を受け持つという。小林さんが約半年前にニューヨークで清宮さんと知り合い、制作を依頼した。

 帰国した清宮さんは今月、オブジェの母材選びのため、小林社長と大谷石の販売や商品開発を手がけるKANEHON(カネホン)=宇都宮市大谷町=を訪れ資材を選定。重さ4.3トンの大谷石を同公園まで運び入れた。

 清宮さんは「制作中は嵐でテントが壊れ、猛暑で危険を感じたが、地元の人の励ましが力になった」と振り返った。

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