【佐野】並木町の花岡地区に伝わる市の無形民俗文化財「芦畦(あしぐろ)獅子舞」例祭が16日、同地区で行われた。この時季の伝統行事だが、新型コロナウイルス禍で見送りを余儀なくされてきたため、実施は2019年以来4年ぶり。夏本番を思わせる強い日差しにも負けず、勇ましい“3頭の獅子”が軽快なおはやしの音とともに街中を巡った。
同獅子舞は約750年前の鎌倉時代から伝承されてきたとされる郷土芸能で、舞により五穀豊穣(ごこくほうじょう)や無病息災、厄よけなどを願う。
この日は午前8時過ぎ、太刀持ちや御幣持ちなどとともに「親獅子」「中獅子」「小獅子」が地区内の各世帯67軒を回った。それぞれの軒先などで太鼓や笛の音に合わせて舞を披露し、力強く太刀を振るっては厄を切り払った。
同地区の佐藤元(さとうはじめ)町会長(77)は「地域の誇りであり、地元の元気につながる大切な行事。中止が続いて不安が募っていたが、何とか再開することができてほっとしている」と話していた。
沿道で見守っていた主婦らは「久々に見ることができた。ようやくいつもの夏が戻ってたことが感じられて、とてもうれしい」と喜んでいた。