「5年は待ってください」→今年が5年目…少女歌劇団ミモザーヌ「もう甘えられない」 笑顔の裏に背水の覚悟

吉本興業発のガールズレビューカンパニー「少女歌劇団ミモザーヌ」が夏公演「~魅惑のバラエティショウ~Summer Collection 2023」(8月5~6日、東京・草月ホール。12~13日、大阪・YES THEATER)を開催する。結成当時から苦楽を共にしてきた1期生・ちばひなの(16)、すずき みあい ムェンドワ(18)、いわむらゆきね(17)に公演にかける思いを聞くと、飛びだしたのは「もう甘えられない」という覚悟の言葉だった。

今年の夏公演の第一幕では、1人の少女が突如現れた白天使と黒天使のささやきに惑わされながらも、大人へと成長していく姿を繊細に描く。前回公演までは芝居パートに参加するメンバーは少数に限られていたが、今回は大幅に増加。ちばが「今回から一気にレベルが上がった」と話すように、セリフの余白にある心の機微と向き合う日々を送っている。「ミモザーヌの第2のスタートとして、この公演を大事にしたい」とちばは笑顔で話した。

「サクラ大戦」シリーズなどで知られるマルチクリエーター・広井王子氏(69)が総合演出を務め、2019年5月1日に結成。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、20年12月にオンラインで初公演。着実に公演を重ね、今年で結成5年目を迎えた。しかし、その胸にあるのは充実感や達成感とは全く異なる背水の思いだった。

「広井さんから『5年は待ってください』って吉本興業に言っていると聞いている。今年が5年目ということで、もう甘えられない。正直、知名度は全然ないっていうのがメンバーの正直な気持ち。それは1期生が特に強く感じているので、本当に今回にかけている」といわむら。すずきも「ここで本当に真剣になって、ミモザーヌにしかできないショーを作らないと…ダメだなって」と続けた。

今年からTwitterやInstagramといった個人SNSの開設に挑戦。ちばは「今まで知名度を上げないとっていうのは分かってはいたけど、なかなか動かなかった。今年に入ってから、そこをどうにかしようと姿勢が変わった」と話した。

そして、意識を変えた出来事がもう一つ。同劇団は20歳を迎えると卒団というルールがあり、団長を務める1期生・いまもりまなか(20)にとっては、これが最後の夏公演。すずきは「団長、副団長に任せっきりになっている自分がいた」と振り返った。いまもりの卒団を前に、1期生の間では危機感にも似た団結力が強まったという。いわむらは「1期生で話し合いをしたわけではないんですけど、みんなの動きを見て一人一人がちゃんとしないとって自然に」と話した。

「5年は待ってください」からスタートした劇団は5年目を迎え、甘えることのできない第二章に突入。初めて観客の声出しが解禁される今回の公演にかける思いは強い。すずきは「ミモザーヌが本当にやりたかったショーの始まり。ここからミモザーヌの成長を見守る気持ちで来てくだされば」と気合を込めた。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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