藤井棋聖、逆転に次ぐ逆転でタイトル防衛 年内八冠へまた前進 羽生九段超えのタイトル戦16連勝、最年少での永世位獲得にも王手

藤井聡太棋聖(竜王、名人、叡王、王位、棋王、王将との七冠)に佐々木大地七段が挑んだ第94期棋聖戦五番勝負第4局が18日、新潟市の「高志の宿 高島屋」で指され、84手で藤井棋聖が勝利。対戦成績を3勝1敗として防衛に成功した。

これで藤井棋聖は、タイトル戦の番勝負で負けなしの16連勝。羽生善治九段の15連勝を超え、歴代単独2位の記録となった。1位は故・大山康晴十五世名人の19連勝。

また、棋聖戦は2020年の獲得から4連覇となり、永世棋聖(通算5期)の獲得まであと1期に。これまでの最年少記録は中原誠十六世名人が1971年に永世棋聖位を獲得した23歳11カ月で、藤井棋聖が来期も防衛すれば、史上最年少での永世位獲得となる。

藤井棋聖の2勝1敗で迎えた今局は、先手番の佐々木七段が得意とする相掛かりの戦型に。中盤までは互角のねじり合いが続いたが、徐々に藤井棋聖が優位を築いた。だが終盤、藤井棋聖が飛車取りに香を打ちながら飛車を取らないという手順を進め、AIの評価値では大逆転を許した。形勢不利とみられた藤井棋聖だが、冷静な応手を続け、再び逆転。そこからは圧巻の指し回しで一気に勝負を決めた。

防衛の局後、藤井棋聖は「積極的に動かれる展開になって、それに対してどう対処するかが分からなくて、ちょっと本譜は思わしくない展開にしてしまったかなと思っていました」と厳しい表情。飛車取りを選ばなかった局面については「ずっと苦しいかなと思っていた。受けが難しい形かなと思っていたので、本譜もちょっと手を渡して勝負しようかなと思いました」と、苦戦を意識した上での〝勝負手〟であったことを明かした。

第4局まで各局、それぞれに苦戦を乗り越えての防衛。19日に21歳の誕生日を迎える藤井棋聖にとって、20歳ラストとなった対局も、鮮やかに逆転で制し「まあ、そのこと(20歳ラスト)は意識していたわけではなかったですけど、最後まで集中して指せたのは良かったかなと」とほほ笑んだ。これで年内八冠独占へ、さらに一歩前進したが、「まずは防衛できたことはうれしく思っていますが、年々内容的には厳しくなっているのかなと思っているので、また実力を高めてこのシリーズを迎えられればと思っています」と足元を見据えつつ、「まだ王位戦のシリーズも続いていますし、王座戦は来月に挑戦者決定戦があるので、今後もしっかりコンディションを整えていい将棋が指せるように頑張っていきたいと思います」と冷静に語った。

(よろず~ニュース編集部)

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