犬の『おしっこ我慢サイン』3つ!病気が隠れている症状も?飼い主がすべき対応とは?

犬の「おしっこ我慢サイン」

犬は人間の言葉を話せないため、おしっこを我慢していることを、その仕草や行動で示すしかありません。では、犬がおしっこを我慢しているときに見せるサインにはどのような仕草や行動があるのでしょうか。

1.そわそわして、落ち着かない

それまで寝そべるなどリラックスムードだったのに、立ち上がってあっちにいったりこっちにいったりとそわそわしだしたのなら、犬が尿意を感じている状態でしょう。

ちゃんとトイレはあるのにそわそわとしているのなら、前にした排泄物が残ったままなど、犬が快適に排泄できない状態なので我慢しているのかもしれません。すぐに片づけてあげましょう。

床のニオイを嗅いでそわそわしているのも、おしっこを我慢している可能性があります。子犬でまだトイレの場所がわからなかったり、成犬でもトイレとは別の部屋にいたりすると、尿意があって床のニオイを嗅いでトイレを探そうとするのです。

2.外に出たがる

室内飼いで家の中ではトイレしない犬の場合、おしっこを我慢しているときに玄関ドアの前でクンクン鳴いたり、ドアをかりかりひっかいたりと外に出たがる子もいます。

「家の中ではできないから、早く外に連れて行って!」と必死に訴えているのでしょう。悪天候や飼い主さんの体調不良など外に連れていけないケースでは、我慢のし過ぎや粗相につながる可能性もあります。室内でもおしっこができるようトレーニングしておくことをおすすめします。

また前に粗相をした場所にニオイが残っていると、そこをトイレとして認識してしまう場合もあります。愛犬が粗相をしてしまったら、掃除の際にしっかりと消臭もするようにしましょう。

3.震えている

何らかの原因で、おしっこがしたいけれどその場所ではどうしてもできないときに、ブルブル震えることがあります。人間でもトイレを我慢しすぎると震えることがありますよね。「ここでは安心しておしっこできない」と犬もトイレを我慢すると小刻みに体が震えてしまうのです。

このような場合は犬はかなり我慢していて、漏らしてしまう寸前の場合もあります。早急にトイレに連れていくか、トイレをきれいにしてあげましょう。

「おしっこ我慢サイン」には病気が隠れている場合も

そもそも犬はどれくらいおしっこを我慢できるのでしょうか。

個体差はあるにしろ、『健康な成犬であれば、12時間ほどはおしっこをしないでいられる』といわれています。人間よりもとても長い時間トイレを我慢できるのですね。

犬の祖先がまだ野生動物であった頃、排泄をするということは自分の痕跡を残すこととなり、敵に追われている、追われそうなときには大変危険なことでした。自分の居場所を隠すために、トイレを我慢する必要があったのです。

また犬自体、きれい好きで自分の住処を汚すことを好まない子が多い傾向にあり、外での排泄の機会や「ここならOK」と思えるトイレがないとおしっこを我慢してしまうこともあります。

12時間我慢できるといっても、おしっこを我慢することで「膀胱炎」や「尿路結石」などの病気のリスクが高まります。

おしっこを我慢しているサインをキャッチしたら、病気の心配はないかどうか、必ず確認してあげましょう。もし少しでも怪しい様子に見えたら、すみやかに動物病院に相談しにいくことをおすすめします。できるだけ新しい尿を持参すると尿検査をしてもらうことができるので、尿を容器に入れたりして持参しましょう。

飼い主がすべき対応とは

では、おしっこを我慢しがちな愛犬に対し、飼い主がすべき対応にはどのようなことがあるのでしょうか。

トイレの環境を整える

おしっこを我慢してしまう原因のひとつに、『トイレが、落ち着いて排泄できない環境にあるから』ということが考えられます。人通りの多い場所や音が騒がしい場所にトイレを設置していないでしょうか。

排泄には周りを気にせず、ある程度脱力する必要があるので、犬が安心できる静かで人目のない場所にトイレを設置するようにしましょう。

また先ほどもご紹介したように、犬はきれい好きですし、嗅覚も敏感なので汚いトイレは苦手です。こまめにペットシーツを交換したり、トイレトレーの拭き掃除をしたりして、いつでも犬のトイレは清潔な状態を維持してあげてくださいね。

室内でも排泄できるようトレーニングする

犬におしっこを我慢させないために、室内でも排泄できるようにしつけるのも大切なことです。

犬が尿意をもよおしているサインをみせたら、室内に準備したトイレに誘導しましょう。サークルの中全面にペットシーツをしきつめて、床を汚さないようにします。そこで排泄できれば、よく褒めてあげてください。

外でしかできないタイプの子の場合、石や草、枝などを置いたり、ニオイでトイレに誘導するしつけスプレーを活用するのもおすすめ。サークル内で排泄できるようになったら、徐々にペットシーツを減らして適切なサイズのトイレスペースにしましょう。

トレーニングが上手くいかずに、トイレとは別の場所で粗相をしたときに犬を叱ると、「家の中でトイレをする=いけないこと」と間違って覚えてしまう可能性があります。指定の場所で排泄できたときに褒め、失敗しても犬のことを叱らないようにしてください。

異変を感じたら受診する

おしっこを我慢することで膀胱炎や尿路結石など病気になったり、我慢しているのではなくおしっこが出ないために何度もトイレに行くわんちゃんもいます。膀胱炎や尿路結石の場合は、少量しか尿が出ない場合や全く尿が出ない場合もあります。そのため、ペットシーツがきれいなままで、もしかしたらおしっこを我慢しているのではないかと勘違いしてしまうことがあり注意が必要です。

おしっこを我慢することでなりやすい病気としては、膀胱炎と尿路結石があげられます。膀胱炎とは、細菌やウイルスの感染が原因で膀胱の粘膜が炎症を起こす病気で、長い間おしっこをためることでそのリスクは高まります。

初期には頻尿と残尿感、症状が進むと血尿や膿のまじったおしっこが出るようになり、排尿時には苦痛を伴うようになってしまいます。おしっこが出づらそうだったり、排泄時に「キャン」と高く鳴いたり、血尿やおしっこのニオイがいつもとは違ったりするなど、異変を感じたらすぐに受診するようにしましょう。

尿路結石症とは、おしっこの中のマグネシウムやカルシウムなどのミネラルがくっついて結晶化し、結石となってしまうことをいいます。こちらも血尿や排尿時に痛みを感じる、嘔吐などの症状がある他に、おしっこにキラキラとした石や結晶が混じることがあります。

症状が進むとおしっこが出なくなってしまい、尿毒症になって命も脅かされる危険な病気です。症状が見られたらすぐに動物病院にいきましょう。

その他、前立腺肥大や慢性腎臓病などの病気によっておしっこが出なくなっているケースも考えられます。丸1日おしっこが出なかったり、少量しか出ないのは危険な状態です。すみやかに受診するようにしてください。

まとめ

今回はおしっこを我慢しているときのサインと、おしっこを我慢してしまう犬にするべき対応についてご紹介しました。

犬は比較的長時間おしっこを我慢できますが、健康にとってはいいことではありません。

しっかりと対策して、スムーズに排泄できる環境を作ってあげてくださいね。

(獣医師監修:平松育子)

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