大分市で9月9日「夏季狂言の会」 出演の野村萬斎インタビュー【大分県】

「弓矢太郎」の一場面。にぎやかでテンポの良い展開が快い
「92歳の父が謡いながら舞う姿は見ものです」と語る野村萬斎=大分市牧緑町の平和市民公園能楽堂

 和泉流狂言師の野村万作、萬斎らが出演する大分「万作・萬斎の会」の「第26回夏季狂言の会」が9月9日午後2時から、大分市牧緑町の平和市民公園能楽堂で開かれる。「寝音曲」と「弓矢太郎」を披露する。

 万作、高野和憲による「寝音曲」は、使用人に謡わせようとする主人と、なかなか謡おうとせず「酒を飲まなければ声が出ない」などと注文をつける使用人のやりとりが楽しい。

 「弓矢太郎」では萬斎、大分市出身の深田博治らが登場。臆病なのに威勢よく振る舞う太郎と、彼を脅かそうと作戦を立てる仲間たちの話で、出演者が多く、にぎやかでテンポの良い展開が快い。萬斎による作品の解説もある。

 チケットは桟敷席6600円、椅子席8800円。同能楽堂、トキハ会館プレイガイド、トキハ別府店、チケットぴあで取り扱っている。問い合わせはノマ企画(092.781.1267)まで。

■「登場人物たちの心理戦が楽しめる」

 「第26回夏季狂言の会」に出演する和泉流狂言師の野村萬斎が意気込みを語った。

 ―夏季狂言の会も26回目となった。

 「30年近く開催し、続けて見に来る人もいます。上演機会の少ない大曲にも取り組んでおり、一大イベントです」

 ―今回の見どころは。

 「『寝音曲』は太郎冠者(かじゃ)が登場する中でも傑作といえる。92歳の父が謡いながら舞う姿は見ものです。『弓矢太郎』は襲名披露で取り組んだゆかりのある作品。狂言としては珍しい2幕ものになっていて、登場人物たちの心理戦が楽しめます」

 ―新型コロナウイルスの法的位置づけが「5類」に移行した。変化を感じる。

 「各地で満席になり、外出する人が多くなったと実感します。積極的に楽しむ人も増え、手拍子が起こるようになりました」

 ―ファンに一言。

 「狂言の笑いは、日本人が700年間アップデートを重ねながら、洗練してきたもの。豊かで面白い世界を味わわないのはもったいない。ぜひ楽しんでいただきたい」

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