ツバメ見守り20年! 佐世保・有薗順博製作所 日本野鳥の会が感謝状 環境整え巣立ちまで応援

福田支部長から感謝状を受け取る有薗社長(中央)=佐世保市、有薗順博製作所

 日本野鳥の会は、ツバメの子育てを見守っているとして、長崎県佐世保市宮田町の義肢装具製作会社「有薗順博製作所」に感謝状を贈った。同社は20年にわたり同社ガレージで、ツバメが巣作りをしやすい環境を整え、子育てや巣立ちの応援をしている。
 同会によると、農耕地の減少や、不衛生を理由にした巣の破壊の増加などでツバメが子育てできる環境が減っている。このような状況を多くの人に知ってもらい、ツバメと人との共存が続くことを願い、同会は2019年度からツバメの巣や生息環境を見守る団体に感謝状を贈呈している。
 同社のガレージでは03年から毎年ツバメが巣を作っている。いくつかの家族が世代交代しながら飛来している可能性があり、当初一つだった巣は三つに。“増築”を重ね細長い平屋状態になっている巣もある。同会県支部は同所で子育てする理由を「川が近く餌が豊富で、家主に世話をしてもらっていることも分かっており、安全で安心できる場所だからだろう」と推察する。 巣がある蛍光灯の傘の部分が新しかった20年前は巣が滑り落ちてしまっていた。そんな様子を見て有薗良太社長(62)は落ちないよう傘に布テープを貼ったことも。

ガレージ内の蛍光灯の傘部分に巣を作り、子育てをするツバメの様子=佐世保市、有薗順博製作所(有薗香津美さん提供)

 ツバメが巣立つまで、有薗社長が毎朝5時にガレージのシャッターを開け、夜は妻の香津美さん(57)が閉めている。シャッターを開けるのが少し遅くなると、「早く開けろ」とばかりにガレージ内を飛び回るツバメもいれば、のんびり開くのを待つツバメもおり「性格の違いを感じる」と有薗社長。地域の子どもらが様子を見に来ることもあり、今年は6月上旬に3羽が巣立った。
 同会県支部の福田治男支部長(75)は今月、「ツバメに代わってお礼申し上げる」と感謝状を手渡した。有薗社長は「何もしてないのにくすぐったい」と話し、「ツバメを見守ることは生活の一部。元気に巣立って、また戻ってきてくれたら」と温かい笑顔を見せた。

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