矢板市が「森づくり条例」制定へ 県内初、次世代継承へ基本理念など21条

矢板市役所

 【矢板】市は19日の市議会全員協議会で、県内初となる「市森づくり条例」を制定することを明らかにした。市の責務や市民、森林所有者、事業者らの役割を明記し、森林を次世代に継承するための基本理念、施策の基本事項を定める。9月定例市議会に関連議案を提出し、10月施行を目指す。

 市は森林が総面積の57%を占める。林業が盛んで、県内で唯一選定された林野庁の「林業成長産業化地域創出モデル事業」では皆伐再造林、市況に左右されない原木・木材の安定取引など先駆的な取り組みを展開。条例案は2022年度で終了した同事業を基礎に、林業・木材産業関係者のみならず市民などを含めた市全体で取り組む施策の方向付けを図る。

 条例案は基本理念など21条からなる。市は市民との協働による森づくりを進め、担い手育成、普及啓発を行う。また施策を推進するための基本構想、構想実現のための行動計画を策定する。市民は森林の多面的機能を共有財産と認識し、地域産材・林産物の積極活用に努める。

 同様の条例は高知県梼原町、金沢市など全国約30市町村で制定されている。

 市農林課は「土砂災害の防止や生物多様性の保全、木材の生産など森林の多面的機能を再認識し、次世代へつないでいかないといけない。市として目指す方向を定めたい」とした。

 市はまとめた条例案を同課や各公民館、市ホームページで閲覧できるようにし、8月18日までパブリックコメントを実施する。

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