宝塚宙組「大逆転裁判」開幕 瑠風輝がゲーム原作の謎解き熱演、決め台詞は「異議あり!」

法廷でシャーロック・ホームズ(左、鷹翔千空)を力強く弁護する成歩堂龍ノ介(手前、瑠風輝)=大阪市北区茶屋町、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

 宝塚歌劇宙(そら)組公演「大逆転裁判-新・蘇(よみがえ)る真実-」が19日、大阪市北区の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで始まった。ゲームが原作のミュージカルで、謎解きを楽しみつつ、複雑に絡み合う人間模様を描く。主演の瑠風輝(るかぜ・ひかる)は弁護士を目指す留学生をコミカルに熱演。最後にはどんでん返しが待ち受け、タイトル通り「大逆転」の爽快感を味わえる。

 法廷を舞台に、無実の罪に問われた依頼人を救うため事件の真相を暴く人気ゲームシリーズ「逆転裁判」から派生した「大逆転裁判」が原作。「逆転裁判」は映画やテレビアニメなどにもなり、宝塚歌劇では2009~13年にかけて3作品を舞台化。今回は第4弾となる。

 脚本・演出は鈴木圭で、ゲームにはないオリジナルの事件を書き下ろした。

 明治時代、司法を学ぶため大学生の成歩堂(なるほどう)龍ノ介(瑠風)は法務助士の御琴羽寿沙都(みことば・すさと、山吹ひばり)とともに大英帝国に渡る。渡航中に出会ったシャーロック・ホームズ(鷹翔千空=たかと・ちあき)に誘われ出かけた舞踏会場で殺人事件が発生。犯人として連行されたホームズを救うため、成歩堂が弁護を務めることになる。

 瑠風はまじめで依頼人を信じ抜く純粋さを持つ成歩堂を好演。窮地に陥った時には「ぐぐぐっ」と言いながらのけぞり、法廷でここぞという場面では、ゲームでおなじみの「異議あり!」を力強く決める。コミカルとシリアス、緩急のバランスが絶妙だ。思いを寄せる法務助士・寿沙都との距離はなかなか縮まらないが、2人は息の合った演技で微妙な距離感を印象づけた。

 ホームズは留置所にいながら成歩堂の謎解きを助け、法廷でも自由に振る舞う。そのカリスマ性を鷹翔が魅力的に演じ、物語の推進役をしっかり担った。

 事件は一筋縄には解決せず、最後まで観客を飽きさせない。随所にゲームならではの荒唐無稽さを残すが、原作を知らなくてもハラハラ、ドキドキ、ワクワクは十二分に味わえる。観劇後は「楽しかった~!」と思わず口をつくはず。肩の力を抜いて楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっていた。

 26日まで、21日休演。 (小尾絵生)

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