最近「小児科が混んでいてなかなか受診できない」という経験をされた方、多いのではないでしょうか。夏風邪の1種「ヘルパンギーナ」など子どもがかかりやすい病気が同時流行していて、医療機関は「薬不足」に悩まされています。
静岡市駿河区の小児科「キッズクリニックさの」は異例の夏を迎えています。
<病院スタッフ>
Q午前中、何組くらいの患者が?
「いまの時点で44組いらっしゃっている。(平時と比べて)20人くらい多い」
この夏は不調を訴える子どもが急増。7月19日も、朝から頭痛やせきに苦しむ子どもが絶え間なく訪れていました。
<滝澤悠希キャスター>
「駐車場、ほぼ満車ですね。かなり混雑しているようです」
感染の広がりを防ぐため、多くの家族が車内で順番待ちをしていました。
国立感染症研究所によりますと、子どもがかかりやすい代表的な夏風邪の1つ「ヘルパンギーナ」は感染が拡大。7月9日までの1週間で全国の1医療機関あたりの患者数が7.32人と3週連続で過去10年間の最多を更新しました。
追い打ちをかけているのが「RSウイルス」。従来、子どもを中心に秋から冬にかけて流行しやすいですが、いま患者が増えているといいます。
<キッズクリニックさの 佐野 正院長>
「いろいろな子どもの病気が増えていくだろうと予想はしていたが、予想以上にいろいろなものがはやっている。足し算されると結構大変だし、新型コロナの患者が密かに増えているのが不気味」
患者が増えれば必然的にやってくるのが「薬不足」。静岡市駿河区の小児科に併設する薬局を取材しました。
<田中亨 薬剤師>
「たんを取るシロップ、流通がすごい滞っていて、県内どこの薬局も品薄な状況」
風邪などで処方する子ども用のシロップの薬が、思うように入荷できない状態だといいます。在庫は残り2本だけです。
<田中亨 薬剤師>
「例年とは違うはやりをしているのが要因。はやりのせいで需要と供給のバランスが一気に崩れてしまい在庫がひっ迫している状況」
発注しても納期の見通しは立っておらず、系列の薬局間で調整して対応しているといいます。
<田中亨 薬剤師>
「どうしても用意できない場合は代替の薬、同系統のシロップや粉薬とかに代えざるを得ない」
子ども用のシロップがなくなった場合には、年齢に応じて同じ効果が期待できる粉薬や錠剤を処方する方針です。夏休みに入れば流行は収まるとみられますが、薬不足はしばらく続きそうです。
日本製薬団体連合会の6月の調査によりますと、「限定出荷」や「供給停止」となっている薬の品目は22.3%に上ります。今回取材した佐野院長も「かぜ薬など一般的な薬がこれほど不足するのは初めて」と話していました。ヘルパンギーナにもRSウイルスにも、手洗いやうがいといった基本的な感染症対策は有効ということです。