覚悟受け止め地元も応援 朝乃山再出場、県民は不安も

朝稽古に参加して汗を流す朝乃山=17日、愛知県蟹江町

 朝乃山の休場から4日。再出場を決めた朝乃山に、富山県内のファンからは「本当に大丈夫か」「勝ってほしい」と、期待と不安が入り交じった声が上がった。昨年の名古屋場所から幕内上位まで番付を戻した元大関は再出場しなければ負け越す状況で、1勝でも多く白星を積み上げることを決断。県民は地元の星の覚悟を受け止め、「出るからには頑張れ」と寄り添い、全力の応援を誓った。

 朝乃山の地元、富山市呉羽町の呉羽会館では初日から休場するまで、住民が集い応援していた。観戦会を企画する呉羽地区自治振興会の北森正誠会長(75)は再出場を昼ごろに知り、「全休してけがをしっかり治すと思っていた」と驚いた。左腕のけがを心配し、「喜んで応援したいが、どこまで治っているか不安も大きい。どうか無理だけはしないでほしい」と複雑そうに語り、当面は観戦会再開を見合わせるとした。

 朝乃山の実家に近い呉羽町の貴船巻公民館は再出場を受け、20日に同館でのテレビ観戦会を再開する。

 16日の休場の発表は多くのファンを心配させた。8月27日には大相撲氷見場所(富山新聞社、北國新聞社主催)が控えており、氷見市相撲協会理事長の宮下幸則さん(57)は「勝ち越すのは大変だが、朝乃山ならできないことではない。氷見場所もあるので頑張ってもらいたい」と言い、勝ち越しての凱旋(がいせん)を願った。

 伏木相撲愛好会(高岡市)の顧問で、県相撲協会参与の西廣志さん(79)は台頭する若手に苦戦を強いられる今場所に触れ、「作戦を立て、工夫して勝つしたたかさが重要になる」と強調。体の調子を心配しながらも「勝ち越して番付を守って」とエールを送った。

  ●「100%の力出して」

 朝乃山富山後援会の青木仁理事長は「休場より出たいという覚悟が上回ったのだろう。けがの具合は気になるが、出るからには100%の力を出して勝ってほしい」と話した。

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