保護者送迎、警戒の登校 加賀、クマ侵入から一夜 観光施設は営業再開

クマ出没が警戒される中、登校する児童=20日午前8時、加賀市錦城小

 加賀市永井町にあるウサギと触れ合える観光施設「月うさぎの里」にクマが侵入し、逃走してから一夜明けた20日、現場周辺の小学校では保護者が児童を車で送迎するなど警戒が続いた。市職員が同日朝に施設周辺をパトロールしたが、クマは見つからなかった。19日に臨時休業した施設は安全対策を施した上で通常営業を再開し、午前中から団体客や親子連れが訪れた。

 施設周辺に住む児童は普段、スクールバスで同市錦城小に通っているが、終業式が行われた20日は、自宅からスクールバスの停留所までの道中でクマに遭遇しないよう、保護者の車で登校した。

 子どもを車で送った会社員山口泰司さん(40)は「クマが出たと聞いて登下校が心配だ」と話した。4年の木村朱里さん(10)は「家はクマが出た場所から離れているけど、外で遭遇したら怖い」と恐怖心をにじませた。

 19日朝に成獣とみられるクマが侵入し、9時間半にわたって捜索活動が行われた月うさぎの里周辺では、市職員2人が20日午前7~8時にパトロールし、住民に警戒を呼び掛けた。市と猟友会は21日にもクマの捕獲用おりを施設周辺に2基設置する。

 月うさぎの里では午前6時ごろから、宮谷正志社長らが開店準備を進め、施設で流す音楽の音量を大きくしてクマが近寄らないように対策した。午前9時の開店に合わせて県外からの団体客や親子が次々と訪れ、土産物を購入したり、ウサギと触れ合ったりした。

 愛知県一宮市から団体旅行で訪れた加藤和江さん(75)は「クマの影響が心配だったが、通常通り営業していて土産物を買うことができて良かった」と話した。

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