犬への「愛情」と「甘やかし」の違いと今すぐやめるべきNG行動
「愛情」と「甘やかし」の根本的な違いは、飼い主が愛犬に対してしようとしている行動が「本当に愛犬のためになることかどうか」だと思います。
大好きな愛犬が喜ぶことをしてあげたいと思う気持ちは、まぎれもなく「愛情」でしょう。しかし、そのために犬が求めることに全て応えてしまうのは「甘やかし」です。
犬が求めていることが、一時的には犬にとって楽しい・うれしいことだとしても、長いスパンで考えた場合すべきではないことであれば、我慢させることも愛情なのです。
愛犬が喜んでいる様子を見ると、飼い主さんも同じように幸せな気持ちになると思います。しかし、一時的な喜びを与えながらも将来的に負担やストレスになることをするのは、厳しい言い方をすれば、飼い主さんの自己満足と言えるでしょう。
「愛情」と「甘やかし」の違いが分かったところでここからは、飼い主が今すぐやめるべきNG行動について解説します。飼い主が「愛情」と思ってしている行動の中で、実は「甘やかし」に該当するものは愛犬のためにも今すぐやめるべきかもしれません。
1.しつけをしない
犬を飼う上で大切なことは、「適切なしつけ」をすることです。しつけというと「厳しくするのはかわいそう」「犬の自由がなくなる」と考えて、しつけはせず自由に過ごさせることを選択する飼い主さんもいます。
しかし、しつけは犬が人間社会で楽しく快適に生きていくために必要なことです。決して厳しくして飼い主さんに「従わせる」わけではなく、家庭内や散歩のときにルールを「教える」のが適切なしつけだと思います。
おすわりや待て、横について歩くことなどは、「芸」として教えるわけではなく、犬の安全を守ったり飼い主さんと仲良く過ごしたりするために大切なことだから教えるものです。
また、小さな頃から様々な経験をさせて、社会性を身につけさせることも忘れないようにしましょう。社会性を持っている犬は、飼い主さん以外の人や散歩であった犬などとも仲良く過ごすことができ、あらゆる状況で落ち着いていられます。
愛犬の不安やストレスを少しでも減らして、穏やかに生きていく手助けをするために、ぜひ社会化トレーニングに取り組んでくださいね。
2.犬の要求に応じる
愛犬が求めていることを理解して、それに応えてあげることは確かに愛情だと思います。しかし、時には応じるべきではない要求もあることを覚えておきましょう。
具体的には、飼い主さんの食事中に人間の食べ物をあげたり、散歩で歩かないからと抱っこしたりといったことをくり返していると、愛犬の健康を害することになります。
何かをして欲しがっていることがわかっていても、愛犬のことを思ってあえて応じない、ということも立派な愛情です。
3.必要なお世話をしない
犬を飼っていると、ブラッシングやシャンプー、歯磨き、耳掃除、爪切りなど様々なお世話をする必要があります。しかし、その多くは犬にとって不快感や違和感を感じさせるもので、慣れていないと嫌がることも少なくありません。
しかし、犬が嫌がっているからといって、体のお手入れをしないのはNGです。お世話を怠ることで、様々なトラブルを引き起こす恐れがあるので、日頃からこまめにケアすることが必要なのです。
嫌がっている場合、無理やりおさえつけてやるとさらに嫌がるようになったり、飼い主さんに不信感を抱くようになります。時間をかけて少しずつでかまわないので、たっぷりほめながら慣らしていくようにしましょう。
まとめ
愛犬にたっぷり愛情を注ぐことは大切です。しかし、それは時に甘やかしとなってしまい、愛犬のためにならない場合もあるので注意しなければなりません。
今しようとしていることが、「本当に愛犬のためになるか」ということを考えてみてくださいね。
(獣医師監修：平松育子)
