「影」生かす創意の花 北國いけばな研究会展開幕

影を生かすアイデアに目を凝らす来場者=金沢21世紀美術館

  ●金沢21美に大作8点

 第61回北國いけばな研究会花展2023(北國いけばな研究会、北國新聞社主催)は20日、金沢21世紀美術館市民ギャラリーAで開幕し、「黒の美」をテーマにした大作8点が披露された。照明で浮かぶ「影」を生かした創意の花が咲き競った会場は、初日から多くの愛好者でにぎわった。

 同会は流派を超えて生け花を研究、発表する団体で、毎年の花展ではテーマを変えて新たな趣向に挑んでいる。今回は会場の照明を落とし、会員8人が影の濃淡や形、重なりを取り入れた大作を寄せた。

 会場は天井から吊(つ)った作品と、床置き作品のコーナーに分かれ、来場者が思い思いに鑑賞した。出品者が自作に込めた思いを紹介する姿も見られた。

 障子をイメージした白と黒の枠に、アレカヤシの緑を寄せた夏の木漏れ日を思わせる大作は、床に映る影も相まってすがすがしさを漂わせた。自然が生み出した松の枝の面白さを生かし、黒く着色して壁や天井に映った影の線を一体にした作品も目を引いた。

 障子の枠を二つ吊るし、計110個の枠に、透明のケースに入れたスモークツリーとニゲラの実を標本のように並べた意欲作は、壁に映る影の濃淡とともに来場者を楽しませた。

 展示は23日まで。入場料は500円となる。

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