高校野球 「スピードよりコントロール」を信条とする渡辺蒼汰(大分舞鶴3年) 【大分県】

初戦となる2回戦からの2試合で先発マウンドに立ったが、まだまだ余力を残している。夏の甲子園を懸けた大分県予選、準々決勝に駒を進めた大分舞鶴のエース渡辺蒼汰(3年)が、自責点ゼロでチームをけん引している。「体のケアをしているし、疲れはない。まだまだ調子は上がるし、こんなものではない」と涼しい表情で振り返った。

渡辺は2回戦の情報科学戦では6回70球を投げ、無四死球、被安打7本、3回戦の臼杵戦では7回105球を投げた。臼杵戦では「ボールが先行して、本来の調子から遠かったが、それでも試合をつくってくれた」と河室聖司監督。得点圏に走者を出す回が多かったが、投球間隔を変えて、1球に費やす時間を短くした。球が離れる瞬間の感触が指先に残るうちに投げるのが制球の秘訣(ひけつ)だ。渡辺はそれで自慢の制球力を取り戻した。

2試合で自責点ゼロの渡辺蒼汰

「スピードよりコントロール」を信条とする渡辺は、「球速が速ければ良い投手というわけではないと思う。コントロールが良ければ、打たれることはない」と自負している。120キロ台のストレートを精密に操り、縦長のストライクゾーンを広く使う。右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップやツーシームなど低めの変化球と組み合わせることで、狙い球を絞りにくくさせる。それが自責点ゼロという安定感につながっている。

高校入学時に野手に転向したが、昨夏に新チームになってから投手に返り咲いた。渡辺は「秋の大会や練習試合からマウンドに立つことが増えた。何の違和感もなく投げることができた」と振り返る。走者を出しても動じることはなく、「点を与えなければいい」と打たせて取るピッチングで試合をつくった。河室監督は「渡辺がテンポよく投げると、打線もリズムよく攻撃ができる」と評価する。ターニングポイントとなったのは4月の九州地区大会。強豪校と対峙し、「コントロールが良ければ打たれることはない」ことを証明し、チームの準優勝に貢献したことが自信となった。今大会も自慢の制球力で頂点を目指す。「チームを勝たせるのが投手の仕事」との思いは強く、全ての試合でマウンドに立つ覚悟だ。

打者としても勝負強さを発揮する

(柚野真也)

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