2023年1~6月の上半期に茨城県警が認知したニセ電話詐欺は、前年同期比で14件増の121件、被害額は同1億3805万円増の3億985万円だったことが20日、県警のまとめで分かった。「オレオレ型」の高額被害やインターネット使用を巡る架空料金請求詐欺が頻発し、全体の被害額を押し上げた。
県警組織犯罪対策課によると、各種手口のうち、オレオレ型は29件発生。前年同期より減少したが、1月に水戸市の70代男性が7千万円の被害に遭うなど、被害額は9775万円増加した。100万円以上の高額被害が全体の76%を占め、1千万円以上の被害も4件発生。被害全てが対面で現金をだまし取られており、金融機関の窓口が関与した被害は10%未満だった。
「架空請求型」は67件と4倍以上増加。被害も7614万円増の1億530万円と急増した。「還付金型」と「預貯金・キャッシュカード詐欺盗」はいずれも減少した。
このほか、ネット使用中にパソコン画面に「ウイルスに感染した」などと表示され、修理費用名目で電子マネーカードを購入させるサポート詐欺なども目立っているという。
被害増加の背景について、県警は、新型コロナウイルスの流行拡大やインターネット動画の普及で、在宅のまま動画視聴する高齢者が増えたことが一因とみている。
県警によると、息子や孫をかたって金をだまし取るオレオレ詐欺の被害は高止まりが続く一方、還付金詐欺が減って架空料金請求詐欺が増える時期もあったという。
犯行グループは手口を頻繁に変更しているとみられており、同課は「犯人の失敗が増えれば別の手口になっていく」と指摘。巡回連絡などを通して対策を呼びかけ「県民のディフェンス力を高めたい」と啓発を推進する。