JX金属と茨城大が連携 技術・人材交流で地域振興

包括連携協定を結んだ茨城大工学部の乾正知部長(左から5人目)とJX金属の菅原静郎副社長(同6人目)=日立市中成沢町

非鉄金属大手のJX金属(東京)と茨城大工学部(茨城県日立市)は20日、包括連携協定を締結した。半導体材料の開発など専門的な技術の協力や人材交流の拡充を進め、優秀な技術者として地元に就職する学生の拡大など県北地域の活性化につなげたい考え。

協定は「茨城で学んで、働いて、そして暮らす人材を共に育む」として、将来にわたり地域との結び付き強化により、就職促進や人口減少の歯止めなどを目指す。協定では「学生のキャリア形成の支援」「学術交流の推進」「地域に根差した次世代育成」「ネーミングライツ」-の4項目での協力を確認した。

学生のキャリア支援は、インターンシップで同大生のコースを新設。受け入れ規模を現在の約2.5倍となる約30人に増やす。学術交流では、共同研究を模索する。次世代教育として、社員と学生が県内の学校で「出張授業」を行う。

連携を象徴するネーミングライツとして、工学部がある日立キャンパスで最も大きい教室(300席)を「JX金属ホール(仮)」と命名する。同社の事業や高い技術力について学生の理解を促し、地域全体で親しんでもらう。リスキリング(学び直し)として、社員が同大で学ぶなど双方の人材交流を進める。

JX金属は、新しい半導体関連材料について茨城大工学部の研究室と共同開発を進めるなど一部で既に連携を始めている。

同社は1905年に日立市で創業した日立鉱山が源流。半導体に使う金属材料の世界シェアは約6割に上る。同市など県内6カ所に生産拠点を構えるほか、同県ひたちなか市に大規模な新工場を建設している。同社の担当者は、茨城県は事業運営上の重要拠点であり、同工学部とは専門領域で親和性が高いとする。地元での就職を目指す学生の積極的採用も視野に入れる。

茨城大工学部の学生は全体で約2千人。協定を機に優秀な技術者として、同社をはじめ、地域への就職者が増えることを期待する。

協定の締結式が同工学部であり、同社の菅原静郎副社長は「創業の地であり、将来にわたり重要な拠点。より発展的な関係を構築したい」とあいさつ。乾正知工学部長は「茨城県で活躍する人材の育成こそ本学にとって最大の地域貢献」と述べた。

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