電気代が高騰している昨今。エアコンも節電しながら使いたいですよね。でも正しい節電方法は意外に知られていないことも…。
そこで今回は、エアコンを販売する三菱電機の空調冷熱システム事業部 久田優美さんに、正しいエアコン節電の方法を伺いました!
知っておこう! エアコンの正しい節電方法
エアコンのフィルター清掃で消費電力の節約に
久田さんによれば、エアコンのフィルターを掃除せず、汚れがついたままだと消費電力が10%以上悪化するとのこと! 一体どうして?
久田 優美さん(以下、久田)「エアコンは、お部屋の空気を吸い込んで冷やして室内に戻すことで冷房しています。吸い込み口のフィルターが汚れると、目詰まりしてエアコンの中に空気を吸い込みにくくなり、冷やせる空気の量が減るので効率が悪くなり、消費電力の悪化につながります。
弊社の試験では、1日8時間エアコンを使用しながらフィルターを約半年間お手入れしなかった場合、新品の状態のフィルターを使用している場合と比較して、消費電力が約12%も悪化することがわかっています。
エアコンのフィルターはホコリがたまりやすく、汚れやすい部分ですので、毎日使っている場合はこまめに掃除しましょう。フィルター掃除のメーカー推奨頻度は、2週間に1回です」
エアコンのフィルターの掃除方法
1. 掃除機でフィルターのホコリを取る。
2. 十分にホコリが取れない場合は、フィルターを中性洗剤につけ置きし、洗浄。十分に乾燥させた後、エアコンにつける。
【注意事項】
・自動フィルターおそうじ機能搭載機種はフィルターが薄い場合があります。洗浄の際には変形や損傷に注意しましょう。
・電気部品を外してのお掃除は故障の原因になるため、絶対におやめください。
冷房運転時、温度を1℃以上上げると10%以上節約に
続いては、気になる設定温度。節約のために設定温度を上げる人も多いのでは? それって効果はあるのでしょうか。
久田「設定温度を1°C上げると約10.1%消費電力量の節約になることが弊社の試験でわかっています。
外気温が35°Cで30分間運転を行うとき、設定温度が28°Cの場合は消費電力217Wh、29度の場合は195Whと、約10.1%の差が出ました(※1)」
※1【試験条件】
MSZ-ZD4022S。「冷房」設定時。同社環境試験室(14畳)において、外気温:35°Cで安定時30分間における、設定温度を28°Cで運転した場合(217Wh)と、29°Cで運転した場合(195Wh)の消費電力量比較。使用環境・設置状況により効果は異なる。
エアコンの気流を当てると体感温度を下げられる!
設定温度を上げると暑くて快適さが損なわれそうな気がしませんか? そんなとき、スイング機能などを使って身体に気流を当てるようにすると涼しく感じることができるのだとか。
久田「弊社の試験では、外気温が35°Cで、30分間運転を行うとき、設定温度を2°C高くした場合であっても、エアコンを人に向けてスイング運転することで、体感温度をほぼ同じにすることができ、かつ消費電力を約21.1%抑えられることがわかりました(※2)」
※2【試験条件】
MSZ-ZD4022S。「冷房」設定時。同社環境試験室(14畳)において、外気温:35°Cで安定時30分間における、設定温度を28°Cで運転した場合(217Wh)と、30°Cで人(サーマルマネキン)に向けてスイング運転した場合(171Wh)の消費電力量比較。使用環境・設置状況により効果は異なる。
(このデータは設定温度を2°C変更した場合の消費電力量の変化を検証した試験です。使用環境を推奨しているわけではありません)
久田「設定温度を高くする代わりにスイング運転機能を活用し、人に向けてエアコンの気流を当てることで体感温度を下げられるということになります。設定温度を下げる前にスイング運転の活用をおすすめします。
ただし、今回行った試験はあくまで消費電力量を抑えることを目的として行ったものです。実際にエアコンをご使用の際には体調を考慮し、暑さを感じる場合には適切な設定温度で運転してください」
エアコンと扇風機を併用するのもあり!
自宅に扇風機があるなら、併用するのもありとのこと!
久田「扇風機を併用することで、エアコンの設定温度を下げることなく、効率的に体感温度を下げることができ、節電につながります。扇風機の有無で消費電力を比較した試験結果をご紹介します。
当社が実施した試験では、外気温が35℃で30分間運転を行うとき、設定温度を1℃高くした場合であっても、エアコンと扇風機を併用することで、体感温度をほぼ同じにすることができ、かつ消費電力を約6.5%抑えられることがわかりました(※3)」
※3【試験条件】
MSZ-ZD4022S。「冷房」設定時。当社環境試験室(14畳)において、外気温:35℃で安定時30分間における、設定温度を28℃で運転した場合(217Wh)と、29℃で扇風機(R30J-DDB、風量1)を併用して運転した場合(203Wh)の消費電力量比較。使用環境・設置状況により効果は異なる。
風量(風速)は、「自動」設定がおすすめ!
エアコンの設定で気になるのが、風量(風速)について。どんな設定がいいのでしょうか?
久田「節電のためには、運転状態に合わせて適切な風量(風速)の設定ができる『風量(風速)自動モード』に設定するのがおすすめです。
このモードは部屋が冷えるまでは強めの風で、その後は弱めの風というように効率よく、部屋にいる人が快適に感じるように風量(風速)を調整してくれます。
エアコンが、最も電力を消費するのは、冷房なら立ち上げ時などの室温を下げるときです。そのため立ち上げ直後が弱めの風では、部屋が冷えるまでの時間が長くなり、無駄な電気を使うことになります。自動におまかせしましょう」
在室時はつけっぱなしのほうが省エネに!
よくエアコンはこまめにスイッチを切ったほうが節電になるという噂も聞きます。実際のところ、どうなのでしょうか?
久田「エアコンは立ち上げ時に最も電気代がかかるため、設定温度に到達後の安定運転を長く続けることが効率的です。在室時は、こまめに入り切りするより、つけっぱなしのほうが省エネになります。
一方で、外出が30分を超える場合は、条件によりますが、運転を切ったほうが節電になります」
この夏は賢くエアコンを使って、暑さを対策しながら節電しましょう!
【取材協力】
三菱電機株式会社
空調冷熱システム事業部 久田優美さん
(ハピママ*/ 今村 梓)