茂木・未成線のアーチ橋に落書き 地元住民「許せない」と憤慨

未成線の遺構で見つかった落書き

 【茂木】町が観光資源化している未成線「長倉線」の遺構のアーチ橋の壁面にペンキの落書きが見つかり、町は21日までに茂木署へ被害届を提出した。同署は器物損壊事件として捜査を始めた。地元住民や町は「許せない行為」と憤慨している。

 落書きが見つかったのは小井戸の「行田川拱橋(なめだがわきょうきょう)」。戦前の1937〜40年にかけて建設された、アーチが美しい人気の遺構で、観光客の写真スポットにもなっていた。

 19日午後3時ごろ、近所の男性(64)が落書きに気付いて町に通報し、町職員が被害を確認した。

 落書きは14.5メートルある橋の北東側コンクリートの壁面に、長さ約10メートルにわたりペンキのスプレー缶によるものとみられる文字や絵が、黒と緑の2色で殴り書きされている。

 現場は人通りがごくわずかで、いつごろの犯行か不明だが、発見前日や前々日に不審な男女3人組と2台のバイクが付近で目撃されたという。

 長倉線の観光資源化をリードしてきた町商工観光課長の滝田隆(たきたたかし)さん(55)は「80年以上前に先人が苦労して造ったものに対する敬意のかけらもない」と憤る。通報者の男性は「未成線の夢を壊す行為。腹が立つ」と怒りが収まらない様子だ。

 町は「やり得、逃げ得は許さない」と厳しく対応する方針。当事者に名乗り出るよう呼びかけている。

アーチが美しい行田川拱橋
アーチが美しい行田川拱橋
未成線の遺構で見つかった落書き

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