コロナだけじゃない、子どもの感染症が流行 抵抗力低下か、夏風邪「ヘルパンギーナ」は警報レベル

「手洗いなど基本的な感染対策を」と話す片山キッズクリニックの片山啓院長=神戸市灘区岩屋中町4

 子どもの感染症が増えている。兵庫県が今週発表した定点観測結果によると、19歳以下の新型コロナウイルス感染者が急増。子どもがかかりやすい夏風邪「ヘルパンギーナ」やRSウイルスも流行しており、予約を取りづらい小児科も出ている。夏休みに入り、県は帰省やレジャーの際の手洗いや換気、マスク着用など感染対策の徹底を呼びかける。

 県がまとめた10~16日の定点観測結果によると、新型コロナ感染者は10代が25%と最多で、5~9歳は13%、1~4歳が7%。19歳以下が計47%に上り、30%台だった5月から夏場に入って大きく増えている。

 ヘルパンギーナは1医療機関当たり4.43人(前週は同5.38人で今年最多)で尼崎、姫路、明石市のほか伊丹、宝塚、加古川、加東、福崎、豊岡、洲本の各保健所管内で警報レベルに。RSウイルスも同3.56人と高水準が続いている。新型コロナ、ヘルパンギーナに、本来は冬に流行するRSウイルスの感染再拡大が重なった格好だ。

 「例年の同時期に比べて明らかに感染症の患者が多く、『予約が取れない』という苦情も来ている」と話すのは、片山キッズクリニック(神戸市灘区)の片山啓院長(70)。通常の診察枠で追い付かず、診察時間を1時間以上オーバーする日もあるという。

 片山院長は「コロナの感染対策を徹底したことで昨年と一昨年、他の感染症がほぼ流行せず、多くの感染症にかかる機会がなく抵抗力を失ったのでは。防ぐには手洗いや食べ物の加熱などの対策が大事」と話す。

 ヘルパンギーナは飛沫や接触によって感染し、高熱が出たり、喉に水疱ができたりするのが特徴。呼吸器感染症のRSウイルスは乳児が感染すると症状が重くなるケースがあるという。

 県感染症対策課は子どもを受診させる目安として、38度以上の発熱▽嘔吐を繰り返す▽おしっこの回数が極端に少ない-などの症状を挙げる。担当者は「親戚などで集まる機会もあると思うが、体調が優れない場合は控えてほしい」と呼びかけている。(竜門和諒)

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