うれしいけれど、もったいない…小さくなった紙おむつ、王子ネピアが「交換」 回収、検品後は乳児院などへ

交換回収されたおむつは丁寧に検品された後、埼玉県内の児童養護施設に届けられる

 王子ネピア(東京都中央区、森平高行社長)は子どもの成長に伴い大きさが合わなくなった紙おむつを無料で引き取り、新サイズのおむつに交換する業界初の取り組みを今年4月から開始。3カ月の実施期間で全国約2千世帯から約7万枚が集まった。回収されたおむつは必要とする乳幼児に使ってもらおうと、埼玉県内の児童養護施設や乳児院に順次届けられている。

 同社の独自調査では、子育て当事者の7割以上が“サイズアウト”のため未使用のおむつを余らせており、推計で年間2千万枚、そのうち約500万枚が廃棄されている。

 プロジェクトを企画した同社マーケティング本部の斉藤敬志さんは「中途半端に余ったおむつをもったいないと思いながらも捨てるのが親の隠れたストレスになっている。そんな子育ての悩みに少しでも寄り添うことができたらうれしい」と今回の経緯を語る。昨今の電気代や食料品の価格高騰が一層家計の負担感に拍車をかけているという。

 子育てアドバイザーの高祖常子さんは「量販店で安売りしていれば家計軽減のために買いだめするのは当然。子育てする中で子どもの成長や笑顔に癒やされる反面、世話や対応にストレスを感じることも少なくない。親が感じているちょっとしたストレスやモヤモヤした気持ちを笑顔にしてくれる大きなチャレンジ。ぜひ継続してほしい」と期待を寄せた。

 回収されたおむつと交換用の新サイズのおむつは、草加市の倉庫業シーワン(小野沢康祐社長)で一つ一つ検品してから発送。県児童福祉施設協議会会長であゆみ学園(羽生市)の丑久保恒行施設長は「物価上昇で運営が厳しさを増しており、おむつ一つだけでもありがたい」と感謝した。

 プロジェクトリーダーの斉藤さんは「サステナブル(持続可能)な社会の実現は当社の理念。今回は初の試みのため、シーワン様のご協力のもと、寄贈先は埼玉県内のみだったが、今後、活動の輪をさらに広げていきたい」と話した。

物流倉庫には全国からサイズアウトしたおむつが連日送られてくる=埼玉県草加市青柳のシーワン

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