南あわじの養豚場で豚熱、650頭を殺処分へ 兵庫の養豚場で34年ぶり 県が対策本部

豚熱対策本部会議の冒頭にあいさつする斎藤元彦知事=22日午後、神戸市中央区中山手通5、兵庫県災害対策センター(撮影・斎藤雅志)

 兵庫県は22日、南あわじ市の養豚場で、家畜伝染病の豚熱(CSF)の感染を確認したと発表した。この養豚場で飼育される全約650頭を同日から殺処分し、1週間程度かけて焼却や埋却などの防疫措置を行う。県内の養豚場での豚熱は、1989年に上月町(現佐用町)で当時の「豚コレラ」として確認されて以来、34年ぶり。

 県によると、20日午前、南あわじ市の養豚場から県淡路家畜保健衛生所に「発育が悪い豚や死んだ豚がいる」と通報があった。22日に国の遺伝子検査で子豚計10頭の陽性が確定した。

 ワクチン接種が進んでいるため、ほかの養豚場などに対して移動や出荷制限は行わない。豚熱は豚やイノシシの病気で人には感染せず、感染した肉を食べても人体に影響はないという。

 県は斎藤元彦知事を本部長とする豚熱対策本部を設置し、22日夕に初会合を開いた。斎藤知事は終了後、「国や市とも連携してまん延を防ぎ、風評被害もないようにする」と話した。県内にはこの養豚場を含め、豚やイノシシの飼育施設が80カ所(うち淡路島内は12カ所)あり、県は異常があった場合の早期通報や衛生管理の徹底を呼びかけた。

 豚熱は2018年に岐阜市の養豚場で26年ぶりに感染が確認され、全国各地に広がっている。県内では21年3月以降、野生イノシシの感染が188頭確認された。今回の感染ルートは不明で、国が調査する。

 県は淡路県民局洲本農林水産振興事務所に防疫対策などの相談窓口を設けた。同事務所農政振興第2課TEL0799.26.2099(平日午前9時~午後5時。23日は開設する)。(上田勇紀)

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