岩佐歩夢、大健闘の2位&ファステスト。レッドブル育成ハウガーが今季2勝目【FIA F2第10戦レース1】

 7月22日、2023年FIA F2第10戦ブダペストのスプリントレース(決勝レース1)が、ハンガリーのハンガロリンクで開催され、デニス・ハウガー(MPモータースポーツ/レッドブル育成)が今季2勝目を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は2位でチェッカーを受けている。

 第10戦決勝レース1のグリッドは、22日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、10番手タイムを記録したクッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)となった。

 2番グリッドにハウガー、3番グリッドにユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ)、4番グリッドにオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)が続き、予選を6番手で終えた岩佐は5番グリッドからスタートを迎えた。

 好天に恵まれたハンガロリンクは気温25度、路面温度48度と高めとなるなか、タイヤ交換義務のない28周の決勝レース1は現地時間14時15分(日本時間21時15分)より開始されたフォーメーションラップを経てスタートを迎えた。

 スタートで抜群の蹴り出しを見せたのは岩佐だった。2番手スタートのハウガーがイン側からマイニをパスする一方、岩佐はターン1でベアマンに差し込み3番手に浮上。続くターン2でマイニを攻略すると、岩佐は2番手に浮上する。

 これでハウガー、岩佐、ベアマン、マイニ、というトップ4で2周目に突入。そしてランキング2位のテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)は5番手に浮上。一方、ランキングトップのフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)は10番手に後退する。

 ポールスタートから順位を落としたマイニはDRSが使用可能となった3周目のターン1でベアマンをインから差し3番手に浮上すると、4周目にはその時点でのファステストとなる1分34秒944を記録する。

 ただ岩佐も、一時は2秒まで広がった差を5周目には0.9秒まで縮める。その様子を見たMPモータースポーツはハウガーにプッシュするように無線を飛ばす。

 ハウガーは6周目に1分34秒764をマークし、岩佐とのギャップをを1.5秒まで広げる。岩佐も7周目には1分34秒944をマークするが、マイニが岩佐のDRS圏内に入り、背後も気にしつつの走行が続いた。

 岩佐以下12台ほどは前車との間隔が1秒を切る数珠繋ぎとなり、いずれもDRSを使用できる状況となるが、それゆえにDRSの利点は発揮されにくい状況ともなった。それだけに、各車はレース後半から終盤に焦点を当て、中盤は前車とのギャップをキープしつつもタイヤマネジメントに徹する走りが続いた。

2023年FIA F2第10戦ブダペスト 岩佐歩夢(ダムス/レッドブル&ホンダ育成)

 そんななか、12周目のターン1への飛び込みでクレモン・ノバラック(トライデント)がラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)に接触。ボシュングがターン1のエスケープでマシンを止めたことでバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。

 そのVSC解除直後の13周目、電光掲示がグリーンに点灯したその瞬間、ターン2への進入でプルシェールがベアマンをパスし4番手に浮上。3番手につけるマイニの背中に張り付く。

 レースも後半に差し掛かった16周目、依然としてハウガーが首位をキープ。続く岩佐はハウガーとのギャップが2.5秒まで広がってしまうが、その前後で「いつからプッシュしていいの?」という岩佐の無線に対し、ダムスが「プッシュしてくれ」と答えた。

 その翌周、岩佐は1分34秒846と自己ベストを更新。一気にハウガーとのギャップが18周目に1.9秒、19周目に1.5秒まで縮める。その動きに呼応してか、19周目にはハウガー、マイニ、プルシェール、ベアマンらも自己ベストを更新する。

 23周目に差し掛かると岩佐と3番手マイニのギャップは6秒まで縮まり、優勝争いはハウガーと岩佐に絞られた。また、ハウガーと岩佐のギャップも1.084まで縮まるが、23周目にハウガーとのギャップが2.7秒まで広がる。

 24周目、ターン1でプルシェールがマイニを攻略し3番手に浮上。その間隙でベアマンも4番手に浮上し、マイニは5番手に後退する。

 また、岩佐もこの前後からタイヤの限界が訪れたか、1分35秒台までペースダウン。ハウガーとのギャップが3.8秒まで広がってしまう。そんななか、26周目のターン1でベアマンがプルシェールをかわし3番手に浮上する。

 岩佐はタイヤも厳しくなった26周目に自己ベストとなる1分33秒127で意地の走りを見せるも、ハウガーのペースは落ちず、5秒差でファイナルラップへ。

 そのままハウガーがトップチェッカーを受け、今季2勝目を飾った。4.2秒差の2位となった岩佐だったが、ファイナルラップのセクター1で全体ベスト、セクター2と3で自己ベストをマークすると、1分32秒585というこのレースのファステストを更新。ファステストラップポイントの1点も加え、計9点を獲得することに成功した。

 大混戦となった3位にベアマンが続いた。ランキング2位プルシェールは4位、ランキングトップのベスティは9位でチェッカーを受けている。
 
 続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は7月23日の現地時間10時5分(日本時間17時5分)から、タイヤ交換義務を有する周回数37周で争われ、岩佐は6番手からスタートを迎える。

2023年FIA F2第10戦ブダペスト デニス・ハウガー(MPモータースポーツ/レッドブル育成)
2023年FIA F2第10戦ブダペスト 岩佐歩夢(ダムス/レッドブル&ホンダ育成)

■2023年FIA F2第10戦ブダペスト

スプリントレース(決勝レース1)正式結果

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 1 D.ハウガー MPモータースポーツ 44’43.144

2 11 岩佐歩夢 ダムス 4.230

3 8 O.ベアマン プレマ・レーシング 14.196

4 5 T.プルシェール ARTグランプリ 16.592

5 2 J.ダルバラ MPモータースポーツ 20.760

6 24 K.マイニ カンポス・レーシング 24.054

7 6 V.マルタンス ARTグランプリ 24.388

8 10 I.ハジャル ハイテック・パルスエイト 24,660

9 7 F.ベスティ プレマ・レーシング 25.316

10 14 J.ドゥーハン インビクタ・ビルトゥジ・レーシング 25.714

11 4 E.フィッティパルディ ロダン・カーリン 26.060

12 3 Z.マロニー ロダン・カーリン 26.592

13 22 R.フェルシュフォー ファン・アメルスフォールト・レーシング 26.840

14 9 J.クロフォード ハイテック・パルスエイト 27.122

15 12 A.ルクレール ダムス 27.486

16 20 R.スタネ トライデント 28.035

17 16 R.ニッサニー PHMレーシング・バイ・チャロウズ 32.986

18 17 B.ベナビデス PHMレーシング・バイ・チャロウズ 37.389

19 15 A.コルデール インビクタ・ビルトゥジ・レーシング 38.013

20 23 J.コレア ファン・アメルスフォールト・レーシング 1Lap

– 25 R.ボシュング カンポス・レーシング DNF

– 21 C.ノバラック トライデント DNF

・ファステストラップ(全体&トップ10圏内)
#11 岩佐歩夢:1分32秒585(28/28)170.347km/h

・ ペナルティ
#23 ファン・マヌエル・コレア:5秒タイムペナルティ(ピットレーンスピード違反)

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