佐々木歩夢、鈴木竜生、鳥羽海渡ら日本人ライダー5名の奮闘/Moto3クラス前半戦振り返り

 2023年MotoGPは前半8戦を終えて突入したサマーブレイクも終盤に差し掛かり、8月からいよいよ後半戦に向けて再始動する。軽排気量クラスとも言われるMoto3クラスにおいては、ホンダ、KTM、ガスガス、ハスクバーナ、CFMOTOの5メーカーが参戦。14チーム28名がエントリーしている。ポイントランキングのトップ3はダニエル・オルガド、ジャウマ・マシア、佐々木歩夢となっている。

 日本勢は佐々木、鈴木竜生、鳥羽海渡、山中琉聖、古里太陽の5名がエントリーしている。ランキング上位に食い込む佐々木や、怪我からの復帰を目指す鈴木など、それぞれの奮闘ぶりを振り返っておこう。

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■佐々木歩夢/Liqui Moly Husqvarna Intact GP

■予選最高順位:ポールポジション(第1戦ポルトガルGP、第2戦アルゼンチンGP、第5戦フランスGP、第7戦ドイツGP)
■決勝最高順位:2位(第5戦フランスGP、第7戦ドイツGP、第8戦オランダGP)
■表彰台獲得回数:4回(第5戦フランスGP、第6戦イタリアGP、第7戦ドイツGP、第8戦オランダGP)

 Moto3クラスのなかで、2023年前半戦で最も飛躍したのは、佐々木だろう。佐々木は2022年シーズンも上位の常連だったが、今シーズンも開幕戦ポルトガルGP、第2戦アルゼンチンGPと連続でポールを獲得している。特筆すべきは、そのタイムで、第7戦ドイツGPではオールタイムラップレコードを更新する1分25秒130をマークし、2番手と1秒以上のタイム差をつけるなど圧巻の速さだ。

Moto3:佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)/2023MotoGP第5戦フランスGP

 前半8戦で4度のポールを獲得している佐々木だが、残念ながら優勝は逃している。決勝では転倒リタイアや、トップ争いを繰り広げるも、あと一歩届かず悔しい戦いが続いていて、ポイントランキングは3位につけている。

 第8戦オランダGP終了後に佐々木は「4戦連続で表彰台に登ることができましたが、結果は2位でした。後半戦はチャンピオン争いに食い込んでいきたい」と意気込みを見せているので、後半戦にも期待が高まる。

■鈴木竜生/Leopard Racing

■予選最高順位:6番手(第2戦アルゼンチンGP)
■決勝最高順位:優勝(第2戦アルゼンチンGP)
■表彰台獲得回数:1回(第2戦アルゼンチンGP)

 鈴木は、第2戦アルゼンチンGPで優勝。ウエットコンディションで難しい状況のなか、序盤からファステストを連発させて独走体制を築き、2020年第3戦アンダルシアGP以来となる優勝となった。

Moto3:優勝した鈴木竜生(Leopard Racing)/2023MotoGP第2戦アルゼンチンGP

 その優勝以来、表彰台獲得からは遠かっているが、完走したレースでは全てポイントを獲得している。しかし、第6戦イタリアGP決勝のファイナルラップに転倒を喫した際に、左手と左足を骨折。その影響で第7戦ドイツGPと第8戦オランダGPは欠場となってしまった。

 鈴木にとって、3年ぶりの優勝と怪我による欠場と山あり谷ありの前半戦となった。現在ポイントランキング11位につけている鈴木は、イギリスGPから復帰するとアナウンスされている。怪我からの復帰戦となるイギリスGPでの走りが楽しみだ。

■鳥羽海渡/SIC58 Squadra Corse

■予選最高順位:7番手(第8戦オランダGP)
■決勝最高順位:7位(第2戦アルゼンチンGP)

 鳥羽は、前半戦を終えてランキング12位につけている。今シーズンは表彰台獲得こそないものの、前半戦でのリタイアは第4戦スペインGPのみで、残りの7戦は全てポイントを獲得している。

Moto3:鳥羽海渡(SIC58 Squadra Corse)/2023MotoGP第2戦アルゼンチンGP

 第8戦オランダGPでは、FP3で転倒した際に脳震盪を起こしたことで、万全の体調でレースに挑めなかったようだが、決勝では11位でチェッカーを受けて5ポイントを獲得している。鳥羽の持ち味である安定感の高い走りで、後半戦は2022年第1戦カタールGP以来となる表彰台獲得に向けて邁進してくれるだろう。

■山中琉聖/Valresa GASGAS Aspar M3

■予選最高順位:6番手(第4戦スペインGP)
■決勝最高順位:5位(第5戦フランスGP)

 山中は、今シーズンから強豪のGASGAS Aspar Teamへ移籍。マシンをKTMからガスガスに乗り換えている。今シーズンはトップ集団に混ざり、バトル展開を繰り広げる姿も見受けられた。

Moto3:山中琉聖(Valresa GASGAS Aspar M3)/2023MotoGP第5戦フランスGP

 Moto3フル参戦4年目となるが、いまだ表彰台獲得経験はない。自己ベストは2022年第8戦イタリアGPで獲得した5位となっている。しかし、今シーズンは第5戦フランスGPでその自己ベストに並ぶ5位を獲得し、現在はランキング14位につけている。

 着実に一歩ずつ前進させ、成長を見せている。そんな山中が、後半戦にかけてさらにパワーアップし、Moto3クラスで自身初となる表彰台を獲得するのは、そう遠くないだろう。

■古里太陽/Honda Team Asia

■予選最高順位:11番手(第7戦ドイツGP)
■決勝最高順位:10位(第7戦ドイツGP)

 古里はMoto3クラスフル参戦2年目のライダーだ。デビューイヤーとなった2022年の自己ベストは、第14戦日本GPでの14位だったが、2023年は第7戦目にして自己ベストを上回る10位を獲得している。

Moto3:古里太陽(Honda Team Asia)/2023MotoGP第7戦ドイツGP

 序盤4戦は下位に沈んでしまい、さらに第5戦フランスGPと第6戦イタリアGPの決勝では上位でグループで争いを繰り広げていたなかで転倒リタイアとなってしまった。しかし、第7戦ドイツGPでは前戦までのミスを挽回して、シーズン初のポイント獲得に繋げた。

 ドイツGPのレース後、古里は「自分のなかで、大きな進歩を遂げていると感じています。この良い流れを続けられるよう頑張ります」とコメント。まだまだ成長過程にはあるが、一戦一戦をものにして進歩を遂げ、後半戦にかけてますます成長していく古里の姿を見守りたい。

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