人手不足解消へ、海外学生インターン 宿泊業、県が受け入れ支援

旅館でのインターンシップを行う台湾の学生=鶴岡市・萬国屋(古窯ホールディングス提供)

 旅館やホテルの人手不足問題に対応するため、県は本年度、海外の大学からのインターンシップ受け入れへの支援事業を開始する。初年度は関係者が台湾を訪問して日本語学科がある現地の大学関係者などとの情報交換を行い、安心して学生を送り出してもらえるよう信頼関係構築を図る。

 10月ごろの訪台を想定し、約260万円を予算化した。インターン受け入れには人手不足解消のほか、帰国後の学生が家族や友人に伝えることなどによるインバウンド(訪日客)の拡大、受け入れ施設内や地域での国際交流の推進などが期待できる。

 県内では、古窯ホールディングス(上山市、佐藤信幸社長)の古窯(同市)と萬国屋(鶴岡市)が昨年9月から台湾の学生の受け入れを始めている。夏休み期間のみの2カ月から1年間の計画で、来年8月までの間に2施設で計4大学22人が参加する予定。萬国屋で半年間のインターンを体験した学生2人が、今年9月に正式に入社することも決まっている。

 県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長も務める佐藤社長は「学生は日本語のレベルも高く優秀で、効果が出ている」と話す。円安により給与面では不利になっているものの「本当に日本に行きたいという学生だけが来てくれる」という。

 一方、インターン生も労働者として、最低賃金法を含む労働関係法令を適用する形で受け入れるのが基本となる。佐藤社長は「一番の課題になるのは相手方との信頼関係の構築だ」と指摘する。佐藤社長は毎年のように訪台しており、今年も4月には現地で10校の大学関係者と意見交換をしてきた。「最終的な契約は個別の宿泊施設が行うことになるが、県が関係構築の入り口をつくってくれるのはありがたい。国際化を進めるためにも活用が広がればいい」と話している。

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