朝乃山勝ち越し 関脇・若元春を寄り切る「これで満足はしていない」

 大相撲名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)千秋楽の23日、東前頭4枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西関脇若元春を力強く寄り切って、勝ち越しを決めた。左上腕の負傷による4日間の休場から再出場後に4連勝で8勝目。復帰後初めて関脇を撃破し、元大関の意地を見せた朝乃山は「勝ち越しは通過点のつもりだった。2桁勝ちたかった。これで満足はしていない」と最後まで気を抜かなかった。

 朝乃山は初顔合わせとなる若元春にけんか四つで差し負け、相手得意の左四つに。休場の原因になった左上腕のけがへの悪影響を考えても「なりたくない形だった」。長引けば不利とばかりに思い切って右を巻き替え、馬力を生かして一気に前進。土俵際で相手に再び巻き替えられるも、構わずに寄り切った。

 朝乃山が謹慎中に番付を駆け上がり、大関とりに挑むまでに急成長したのが若元春。「きょうも格上の相手で、思い切っていこうと思った」と挑戦者の気持ちで土俵に上がり、関脇を圧倒する強さを見せつけた。

 8勝4敗3休とし、昨年の名古屋場所で復帰してから7場所連続の勝ち越しとなった。7日目の関脇豊昇龍戦で腕を痛め、「左上腕二頭筋部分断裂で4週間の局所安静を要する」との診断書を出して8日目から休場。一時は復帰後初の負け越しが濃厚とみられたが、「来場所につなげたい」との強い思いで再出場を決断した。

 取組後、支度部屋に残った朝乃山はテレビで優勝が決まる瞬間を見届けた。「豊昇龍関や伯桜鵬関が活躍していて、テレビで見ていて悔しい気持ちもある」。場所前は優勝争いに絡むことを目標に掲げていただけに、物足りない胸の内を明かした。

 来場所の番付は東前頭2枚目に上がることが予想される。「年内の三役昇進」という目標を実現させるためにも正念場となりそうだ。

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