カタブイ、なぜ起きる? 知っておきたいメカニズムや天気予報で確認するポイント

 夏の青空が一変、雲が急に広がりバケツをひっくり返したような大雨が短時間に降るカタブイ(片降り)。すぐ近くの別の場所は晴れているのに、という光景が沖縄ではよく見られる。

 夏の暑さを一瞬和らげるカタブイだが、河川の水位が急に上昇して事故が起きる危険性もある。沖縄気象台は、カタブイが起きるメカニズムや天気予報で確認するポイントを発信し、安全確保を呼びかけている。

 夏の沖縄本島は太平洋高気圧に覆われ、風が弱く晴れる日が多くなる。そんな日の午後を中心に、局地的に積乱雲が発生し大雨となる。この現象が「不安定性降水」、つまりカタブイだ。地表付近の暖かい空気は軽くなって上昇し積乱雲となり、雷や強い雨をもたらす。

  沖縄気象台によると、カタブイの発生場所は風向きによってある程度の予測が可能だという。雨雲は風下に発生する傾向があるため、例えば西風の時には東海岸で、東風の時は西海岸沿いでカタブイが起きる。

 一方で、降水量の予測や事前の発生予測は難しいため、予想以上の大雨になったり、警報・注意報が発生直前の発表になったりする場合がある。そのため、気象台は天気予報で「雷を伴う」「大気の状態が不安定」という表現を意識してほしいと説明する。

 カタブイによる河川の急激な増水、鉄砲水の事故にも注意が必要だ。最近では、2022年8月に大宜味村の平南川上流のター滝の増水で、64人が一時取り残され1人が死亡する事故が起きた。

 気象台は「自分がいる場所で雨が降っていなくても、川の上流で大雨が降ると下流で急に増水し、危険が高まることもある」と指摘。雷鳴が聞こえるなど、異変を感じたらすぐに水辺を離れることや、気象庁ホームページで最新情報を確認してほしいと呼びかけている。

 (座波幸代)

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