苦労人錦木、岩手県民たたえる 「次は優勝を」エール

初の殊勲賞に輝いた錦木関。10勝5敗で今場所を終えた=23日、名古屋市・ドルフィンズアリーナ

 【名古屋市で東京支社・下石畑智士】初土俵から17年、愚直に稽古に向き合う姿勢がようやく実を結んだ。大相撲名古屋場所で、盛岡市出身の東前頭筆頭の錦木関(32)=伊勢ノ海部屋、盛岡・米内中=が殊勲賞に輝いた。次々と上位を破り、優勝争いを引っ張った、たたき上げの苦労人。焦らず、自然体で進化を続ける姿に、県民は「盛岡の星に」「次は優勝を」と奮闘をたたえ、さらなる躍進に期待を寄せる。

 23日、満員御礼となった名古屋市・ドルフィンズアリーナ。惜しくも賜杯には届かなかったが、終盤まで優勝争いを演じた錦木関に大きな拍手と声援が送られた。

 平たんな道のりではなかった。2019年初場所で初の金星を挙げたが、その後は不振続き。新型コロナウイルス禍で出稽古ができなかったこともあり、十両下位まで沈んだ。それでも、自らを信じて相撲を磨いた。初受賞に「長かったのかな。一時期は幕下まで落ちそうになった時もあったので」と感慨に浸った。

 郷土力士として18年ぶりとなる三賞に県民も沸く。6月の盛岡合宿で、錦木関と交流した盛岡市みたけの児童指導員鈴木あゆさん(22)は「気さくで温かい人柄と、腰が重く押されても引かない力強い相撲が魅力。新三役になって盛岡の星として活躍してほしい」と熱を込める。

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