光の祭典「神戸ルミナリエ」、初の1月開催決まる 光の回廊は縮小、メリケンパークに設置へ 組織委など、鎮魂の趣旨を考慮「震災30年を見据えた実験的取り組み」

新型コロナウイルス禍前の2019年12月に開かれた神戸ルミナリエ=神戸市中央区

 阪神・淡路大震災の犠牲者を悼み、記憶を継承する光の祭典「神戸ルミナリエ」について、組織委員会(会長=久元喜造神戸市長)は24日、来年1月19~28日に開催すると発表した。2019年以来の本格実施で、1月開催は初。密集を回避するため光の装飾を旧居留地と東遊園地、メリケンパーク(いずれも神戸市中央区)に分散配置する。

 1995年の開始から毎年12月に開催してきたが、鎮魂の趣旨から1月17日に東遊園地で開かれる「1.17のつどい」後の実施がふさわしいと判断。来場者の動線をつくる交通規制は会場の分散で行わず、警備体制の負担軽減を図る。

 アーチ状の光の回廊「ガレリア」はメリケンパーク南東側に設ける。アーチの数を従来よりも減らし、海風対策として18メートル近い高さを下げる。旧居留地では、三井住友銀行神戸本部ビル(同市中央区浪花町)前で円形の装飾「ロソーネ」などを展示。東遊園地には光の聖堂「カッサ・アルモニカ」などを置く。

 新たな試みでは拡張現実(AR)などを活用する。旧居留地で過去のガレリアをスマートフォンなどの画面上で再現し、記念撮影できる仕組みを検討。今秋に詳細を公表する。ガレリアの通り抜けやデジタル技術の利用は有料とする。

 約5億円の開催経費のうち警備費用は1億4千万円まで膨らむ一方、企業の協賛金や来場者の寄付は減少が続く。新型コロナウイルス禍の2020年以降は規模を縮小し、代替行事を実施してきた。組織委の関係者は「今回は実験的な取り組み。(25年の)震災30年を見据え、ルミナリエをいかに持続させるか検討したい」と話した。

 震災後に生まれた世代のグループ「1.17希望の架け橋」は、代替行事の会場で震災体験者にインタビューを行ってきた。藤原祐弥代表(21)は「失われつつあった犠牲者への鎮魂という目的が1月開催で取り戻せる」と歓迎。「1.17のつどい」実行委員会の藤本真一委員長(39)も好意的に受け止めつつ「12月開催が定着し、追悼行事の意味合いが薄れていたとも言える。震災を風化させず、行事を継続する在り方をともに模索したい」と呼びかけた。(金 旻革、上田勇紀、名倉あかり)

© 株式会社神戸新聞社