今季BTCCで唯一のホンダ陣営ワン・モータースポーツに、女性ドライバーのジェイド・エドワーズが復帰

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2023年シーズンにおいて、唯一のホンダ陣営として孤軍奮闘するワン・モータースポーツ・ウィズ・スターライン・レーシングが、このサマーブレイク期間に体制変更をアナウンス。コマーシャルおよびマーケティングディレクター兼レースドライバーの役割も担った38歳のウィル・パウエルが離脱したのに伴い、女性ドライバーのジェイド・エドワーズが“古巣復帰”を果たすことが明らかにされた。

 開幕を目前にして、長年ホンダ陣営を牽引してきた名門チーム・ダイナミクスが電撃的な決断をし、チームとしての参戦活動を休止すると同時に、新たにワン・モータースポーツ(旧BTCレーシング)へのサポートに回ることをアナウンス。これによりワン・モータースポーツは、昨年まで搭載してきたTOCA共通エンジンと決別し、直近までダイナミクスが使用してきたニール・ブラウン・エンジニアリング製のホンダ・ユニットを使用し、ジョシュ・クックやエイデン・モファットらを走らせてきた。

 そのチームで3台目のステアリングを握ってきたパウエルが途中離脱となったことを受け、チームはFK8型ホンダ・シビック・タイプRのシートに33歳のエドワーズを呼び戻すことを決めた。

「シーズン後半戦に向け、こうしてワン・モータースポーツに戻ってくることができてうれしい。チーム・ハードのみんなの勤勉さと献身に心から感謝したいと思っている。私たちは良い関係で物事を終えたし、みんなとの間には敬意しかないわ」と語ったエドワーズ。

 その彼女もまた前述のチーム体制変更で影響を受けたドライバーのひとりであり、2022年までの2年間をBTCレーシングで戦ったのち、今季2023年に向けてはルノー・クリオUK時代の古巣とも言えるチーム・ハードに移籍。ダン・ロイドやボビー・トンプソン、ニコラス・ハミルトンらと並び、前半戦はクプラ・レオンBTCCをドライブしてきた。

「ワン・モータースポーツに再加入できることは本当に興奮しているし、それを実現するための契約を結ぶことができたことにも感謝している。すでに2年間このチームで過ごしてきたから、まるで我が家のように感じられるわ。慣れ親しんだ環境に戻れるのは良いことだと思う」と、わずか半年での復帰となったエドワーズ。

「私が最後にドライブしてから、クルマには明らかにいくつかの変更が加えられたけれど、ジョシュ(・クック)とエイデン(・モフィット)の経験だけでなくチームの実績もあり、数週間後にクロフトに到着したときには、すぐに本格的なスタートが切れると確信している」

「シーズンを力強く締めくくることに全力を注いでいくつもりだし、ホンダ・シビック・タイプRに戻ることが、それを実現する最高の機会だと信じている」

名門Team Dynamicsを得た新生One Motorsport with Starline Racingから、38歳のウィル・パウエル(左)が離脱
ジェイド・エドワーズ自身も、2022年までの2年間をBTC Racingで戦ったのち、今季2023年に向けてはルノー・クリオUK時代の古巣とも言えるTeam HARDに移籍していた

■チーム・ハードは17歳のダリル・デレオンを起用

 こうしてシートが空いたチーム・ハードの1台には、7月4日にドニントンパークのグランプリ・サーキット(GPレイアウト)にて実施されたグッドイヤーのタイヤテストにて、印象的なドライブを見せていた17歳、ダリル・デレオンの起用がアナウンスされた。

 まだティーンエイジャーのデレオンだが、今季初めにチーム・ハードのスカラシップを獲得すると、チームとともにポルシェGT3でイギリスの国内耐久選手権に出場。ランキングで首位に立つとともに、並行してラディカル・カップUKにも参戦している。

 そんな彼はテストでトンプソン車のステアリングを握ると、午前のセッションから8番手と印象的なスピードを披露し、総合でもトップ10の枠をわずか0.038秒逃しただけの11位を記録していた。

「BTCCでツーリングカーをドライブする機会を得て本当に興奮している」と、シリーズ史上初のフィリピン出身ドライバーとなったデレオン。「僕はまだ17歳だけど、チーム・ハードのスカラシップが間違いなく扉を開いてくれた。そのおかげで、適切な人々と連絡を取ることができ、イギリス最高峰のモータースポーツ・シリーズでレースをする機会を得ることができたんだからね」

「NGTC規定車両でトラックに出るのを楽しみにしている。レースだけでなくシリーズのすべてが素晴らしいし、エンジニア、メカニック、そしてチームを構成する全員に加えて、ツーリングカーの観客は別のレベルにあり、彼らは最高なんだ!」

「ポルシェのGT3はツーリングカーとまったく同じではないが、レースへのアプローチは一緒だ。エンジニア、データアナリストとの協力、マシンのセットアップ、レース戦略はすべてその一環だから、レースやシートタイムが長くなればなるほど良いんだ」

 同時にチームは、トンプソンの離脱とともにマイケル・クリースの再起用も発表。後半戦はロイドやハミルトンに加え、ふたりのニューフェイスとともに戦うとしている。

「シーズンを力強く締めくくることに全力を注いでいくつもりだし、ホンダ・シビック・タイプRに戻ることが、それを実現する最高の機会だと信じている」とエドワーズ
シートが空いたTeam HARDの1台にはフィリピン出身の17歳、ダリル・デレオンの起用がアナウンスされた

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