山岳駆ける日本女王 8月、イタリアでスカイラン世界ユース金沢学院大1年・小林さん「金メダル持ち帰る」

白山・別山でトレーニングをする小林さん

 8月にイタリアで行われる山岳を駆け登る競技「スカイランニング」のユース世界選手権に金沢学院大栄養学部1年の小林華蓮(かれん)さん(18)=長野県飯山市出身=が日本代表で出場する。初出場した昨年は3部門で銅メダルを獲得。「強くなるには栄養学の知識が必要」と入学した小林さんは「金メダルを持ち帰る」と大学の新しい陸上競技場や白山麓で練習を積んでいる。

 スカイランは欧州発祥の競技で、「快速登山」と称される。昨年7月、フランスとスペインの国境・ピレネー山脈のアンドラ公国で行われたユース世界選手権では、小林さんは標高差1000メートルを一気に登る「バーティカル」など3部門で銅メダルを獲得した。

 飯山市の山あいにある標高300メートルの街で生まれ育った小林さんは小1でクロスカントリースキーを始め、中1からは野山を駆けるトレイルランニングの大会に出場。数々の大会で上位入賞を果たすと、より急斜面を走るスカイランに中3で挑戦した。

 「自然の中で自分を追い込んでいる感覚がたまらず、生きていると実感した」。一人で工夫しながら野山を駆けて練習し、クロスカントリーで鍛えた心肺能力と足腰を武器に高1で日本選手権ユースを制覇して日本代表に選ばれた。

 ユースの大会で連覇を続けるなど同世代では抜きんでており、全世代が出場する日本選手権でもスプリント部門で20、21年と連覇している。

 冬季は雪山を駆け登るスカイスノーと、次の冬季オリンピックで正式種目に採用された山岳スキーにも取り組む。どちらも全日本ユースを制して日本代表に選ばれている。

 金沢を新たな活動拠点に選んだのは「山と雪があるから」で、平日は大学の陸上競技場、週末はスカイラン日本代表の枝元香菜子金沢学院大助教(32)とともに白山麓の山々を巡ってトレーニングしている。

 練習と学業の日々で息を抜く暇もないが「自分が活躍し、競技の面白さを多くの人に伝えたい。目標があるのでつらくはない」と小林さん。新たな環境で心機一転し、頂点を目指して野山を駆ける。

 ★スカイランニング 険しい山岳を駆け上がる(駆け下る)競技。標高差800メートル以上で登り坂のみの「バーティカル」や距離50~80キロの山岳レース「スカイウルトラ」などの種目がある。国内でも2013年に日本スカイランニング協会が設立され、日本選手権などの公認レースが行われている。

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