<金口木舌>行動変容捉える夏に 新事業のヒントは

 最近、本島北部の沿道でスーツケースを引く若者の姿をよく見かけるようになった。観光需要の回復が要因かと思ったが、それだけではないようだ。観光事業者の話で合点がいった

▼「免許を持たない観光客が増えた」というのである。遠くは国頭村までバスで訪れる観光客も多い。だが、観光施設間を結ぶ公共交通がないため、移動するすべがないとの声も上がっているらしい

▼警察庁の統計によると、2022年末の10、20代の運転免許保有者数は約1082万人。20年前の02年と比べると約610万人も減った。免許を持たない人が楽しめる観光の在り方が求められよう

▼ほかの場所でも、コロナ禍前と変化があるようだ。名護市内の飲食事業者から「売上高が全然違う」との声を聞く。会食制限がなくなったが、店に長時間滞在する人は減り、売り上げは回復していない

▼夏休みに入り県内では大型イベントが最盛期を迎える。人々の行動変容をどう捉えるのか。久しぶりの行動制限のない夏に新事業のヒントが眠っているのかもしれない。

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