再エネ促進区域に県基準 「慎重な検討」など設定 施設トラブル回避図る

 県は24日までに、市町が太陽光発電など再生可能エネルギー施設の設置に向けて設定する「促進区域」の基準案を策定した。災害の恐れがある場所や自然保護のために重要な場所を除外するほか、自然や生活環境に配慮するなど一定の条件をクリアすれば設置できる区域を設けた。再エネ施設を巡っては全国で土砂崩れや騒音などを理由に住民とのトラブルが相次いでおり、県は基準を設けることでそうした問題を回避したい考えだ。

 促進区域は、2022年4月施行の改正地球温暖化対策推進法で、市町に設定の努力義務が課された。市町が地元住民の合意を得た上で定め、事業者に設置場所の目安にしてもらう。工場跡地や未利用の公有地などが想定される。

 促進区域内に再エネ施設を設置する場合、事業者側は行政手続きを簡略化でき、住民側は再エネ電気を安価に購入できるなどのメリットもある。促進区域の基準は23年4月現在、12府県が策定している。

 対象とする施設は太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの各発電施設。「促進区域に含めてはいけない区域」として、土砂災害特別警戒区域や史跡・名勝・天然記念物の指定地、自然環境保全地域、農用地区域などを定めた。

 「慎重な検討を要する区域」では地域森林計画対象民有林や河川保全区域などを指定。環境配慮事項として騒音・悪臭の低減、水の濁りや大気汚染の防止、景観保全などのチェック項目を設け、条件を満たせば設置できるとした。

 21日からパブリックコメント(意見公募)を実施しており、早ければ10月中の策定を目指す。この基準に基づき、市町に促進区域を設定してもらう。

 県気候変動対策課は「県基準を再エネ事業を進めるための一助にしたい」としている。

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