富士山は夏の登山シーズンを迎え、多くの登山者で賑わっていますが、一方で噴火に対する備えも必要となっています。富士山噴火の歴史を地層から探る研究について取材しました。
静岡・富士宮市にある「富士山世界遺産センター」で先週土曜日から新たな企画展が始まりました。展示会を企画したのは、世界遺産センターを拠点に研究活動をする火山学専門の小林 淳 教授です。主な展示物は「地層剥ぎ取り資料」と呼ばれるもので、崖の表面などから地層の断面を採取し、堆積した火山灰や火山礫などを観察し、噴火の歴史を探ります。
(富士山世界遺産センター 小林 淳 教授)
「静岡県小山町で採取された宝永噴火の資料になります」
今から約300年前、1707年に起きた宝永噴火による堆積物です。約2週間、火山灰などが降り続いたといいます。
(富士山世界遺産センター 小林 淳 教授)
「採取した工事現場では、このパネルの上端が今の地面になります、宝永が最近の噴火です」
2018年、小山町で採取した地層は約10メートル、分割して展示されていました。地層から、宝永噴火以前の記録が見られます。
(富士山世界遺産センター 小林 淳 教授)
「こののり面では、上から下の方まで3500年前の地層になります。噴火によって噴出したものを見ることができますが、このようにスコリアが密集した地層が1層、2層、3層観察することができます。この巨大なのり面で11回の噴火が記録されています」
富士山は「噴火のデパート」と呼ばれるほど、さまざまなタイプの噴火を繰り返し、また地震などによる山体崩壊も起こってきたことが、地層から分かるといいます。こうして噴火と崩壊を繰り返すことで富士山は、今の美しい形になりましたが、今後も注意が必要だと小林教授は指摘します。
(富士山世界遺産センター 小林 淳 教授)
「富士山は火山としては若い火山で、1707年に噴火して以降、静か、いずれ噴火するであろうことは私たちも考えている。そのために防災や、私としては剥ぎ取り資料の展示を通じて伝えていきたい」
富士山噴火の歴史を伝える企画展は、9月18日まで富士山世界遺産センターで開催されています。