●27日決勝
第105回全国高校野球選手権石川大会第10日(25日・金沢市の県立野球場)準決勝が行われ、星稜は小松大谷に6―5で競り勝ち、遊学館は2番・倉知幸我のサヨナラ2ランで航空石川を6―4で破った。決勝は27日(午後0時半、県立野球場)で、星稜は2年連続、遊学館は8年ぶりの甲子園出場を懸ける。星稜の決勝進出は2年連続26度目、遊学館は6年ぶり13度目となる。
●倉知サヨナラ2ラン 「決めてこい」で初球打つ
サヨナラ本塁打の打球が右翼席で弾むと、球場は歓声と拍手に包まれた。倉知は打った直後に右拳を突き上げ柵越えを確信。「決めるつもりだった。気持ちが抑えられない」。人生初のサヨナラ打に心が震えた。
航空石川に4点差を追いつかれ、1点を争う緊迫戦となった。九回裏の攻撃はエース村松杏慈の中前打から2死二塁のチャンスで打席へ向かった。
準々決勝まで打率2割3分1厘。この日も第4打席まで快音はなかった。だが、中川光雄監督の言葉に気合が満ちた。「お前で決めてこい」。迷いなく初球の内角球を強振。鮮やかなアーチが2時間24分の激闘に終止符を打った。
村松が9回143球を投げ抜き、航空石川打線に立ちはだかった。就任2年目の中川監督は「楽しい試合だった」と開口一番。小孫竜二(楽天)を擁して甲子園に出場した8年前は部長だった。「ここまできたらやるだけ」と大舞台を見据えた。
●航空石川、1球に泣く
○…1球に泣いた航空石川・田中大翔はマウンドでうずくまった。中村隆監督は試合後に3年生の前で「お前らようやった。負けたけど誇らしい」と涙を流すと、選手もこらえていた涙を抑えられなかった。
●近藤つなぐ意識で3安打 星稜、武内4失点も打で貢献
星稜は1点を追う八回に2点を奪って勝利を呼び込んだ。右前打で口火を切った4番・近藤真亜久は「調子が良くないので、つなぐ意識だった」。復調を示す3安打に「決勝も得点に絡みたい」と意気込んだ。
エースの武内涼太が三回途中4失点で降板と大誤算。続く佐宗翼、中山敦が四回以降は1点に抑え、打線の奮起を待った。
八回、武内が「情けない投球をしたので打って挽回したい」と同点の適時二塁打を放ち、暴投で逆転のホームイン。山下智将監督は「暑い中、集中力を切らさず粘ってくれた」とたたえた。
近藤と武内は久留米東ボーイズ(福岡)に在籍した中学時代からバッテリーを組む仲。近藤は「武内の力を半分しか引き出せていない。受け身にならず攻めていきたい」と語った。
●小松大谷エース塚田 指にボール受け交代
○…小松大谷のエース塚田光唯は二回表の第1打席、武内の内角球を振りにいった際に右親指にボールを受け「激痛で」無念の交代となり「最後まで投げていたかった」と悔やんだ。武内は「自分は少し動揺したけど、小松大谷さんは動揺してなかった。強かった」と話した。
●審判で甲子園「出場」 川北町職員の国雲さん
○…星稜-小松大谷戦で三塁塁審を務めた国雲(こくうん)正樹さん(48)=川北町職員、写真=は県勢7年ぶりに夏の甲子園の審判に選ばれ「丁寧にジャッジしたい」と話した。桜丘高野球部OBで、2014年石川大会決勝で星稜が小松大谷に8点差を逆転した試合は球審だった。
●小学生以下に大会球とシール
○…小学生以下対象で大会球(1試合20球)と記念シール(10毎)が当たる抽選会が行われた。
▽第1試合
小松大谷004001000―5
星 稜20200002X―6
(小)塚田、竹本、竹島―前本(星)武内、佐宗、中山―近藤▽本塁打 萩原(星)▽三塁打 神谷(小)▽二塁打 石浦2、前本(小)萩原、武内(星)
▽第2試合
航空石川000211000―4
遊学館301000002x―6
(航)浦久、鞠谷、田中―赤星(遊)村松―苅安▽本塁打 倉知(遊)▽二塁打 岩﨑、赤星、加藤(航)塚本2(遊)