【カンボジア】米ビザ発給制限、選管「根拠がない制裁」[政治]

カンボジア国家選挙管理委員会(NEC)は、23日に実施された第7回下院議会選挙(総選挙)での不正を理由に査証(ビザ)発給制限措置を打ち出した米国政府を強く非難している。選管委は、運動期間中も含めて、総選挙は法に従って平和的な環境で行われたと強調している。24日付地元各紙が伝えた。

選管委の声明は、米国務省が23日に「カンボジアの総選挙は自由でも公正でもなかった。民主主義の弱体化に加担した政府関係者に対するビザ発給を制限する」と発表したことを受けたものだ。同省のマシュー・ミラー報道官は、カンボジア政府は野党関係者やメディア、市民に対する脅迫的行為を繰り返し、憲法の精神と国際的な公約に背く結果を招いたとコメントしていた。

これに対し選管委のソム・ソリダ事務局次長は、総選挙の運動と投票が法に従って自由公正な環境で行われたことは世界各地から集まった監視団が現地で確認していると反論。米国のビザ発給制限措置を「超大国による不当な弾圧」と強く非難した。

カンボジア王立アカデミー(RAC)のヤン・ポー事務局長は、選挙監視団を派遣していない米国は選挙が実施された現場を確認しておらず、実情を把握していないと指摘。米国の措置は、同国が中国による関与の疑惑を主張する南西部リアム海軍基地の問題と同じく、単に自国の地政学的な戦略に基づくものだとの見方を示した。

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