「石川に明るい話題届けたい」 大の里、新十両昇進で会見

  ●故郷・津幡の大雨被害思い

  ●戦後県出身者20人目の関取 8月、金沢場所で「凱旋」

 大相撲秋場所(9月10日初日、両国国技館)の番付編成会議で新十両昇進が決まった津幡町出身の大の里(23)=本名中村泰輝(だいき)、二所ノ関部屋=が26日、愛知県安城市の部屋宿舎で会見した。津幡を襲った大雨被害にも触れ「石川に明るい話題を届けられる関取になりたい」と笑顔で語り、金沢市総合体育館で8月26日開催の金沢場所(北國新聞社主催)での「凱旋(がいせん)」に胸を躍らせた。

 「一番はほっとしている。本当に長い場所だった」。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)と報道陣の前に現われた大の里は表情を緩ませた。

 初土俵は5月の夏場所だった。全勝なら所要1場所での新十両が約束された幕下10枚目格付け出しでデビューしたものの、まさかの黒星発進で6勝1敗。悔しさを糧に親方や十両友風の胸を借りて稽古に励んだ。

 名古屋場所は「いける」と自信を深めた一方、「(昇進を)決めなきゃ、決めなきゃ」という思いが自らを追い込み、3勝3敗と苦しんだ。だが、迎えた最後の一番は気持ちを立て直し、万全の内容で勝ち越し。「勝ちと負けの違いは本当に大きい。勝ってなければこの場にいない。自分にとって大きい一番だった」と実感を込めた。

 二所ノ関親方は7番相撲は部屋で一人で見ていたとし「場所中はハラハラする相撲がたくさんあったので緊張した」と笑いながら振り返った。

 デビューから所要2場所での関取昇進は遠藤(32)=穴水町出身、金沢学院大附属高OB、追手風部屋=らと並ぶ史上2番目のスピード出世。県出身者としては戦後20人目の関取で、津幡町出身では初となる。

 遠藤や再入幕が確実な輝(七尾市出身、金沢市西南部中OB、高田川部屋)の先輩力士への憧れとライバル心ものぞかせ「対戦しても、石川県の7割くらいの人が大の里を応援してくれるような存在になりたい」と語った。

 遠藤、輝、けがによる休場で幕下に陥落した炎鵬(金沢市出身、金沢学院大OB、宮城野部屋)の3力士の等身大パネルが金沢駅に設置されていることにも触れ「早く3人に並びたいと思っていた」とし、自身のパネル設置に期待を示した。

  ●二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)一問一答

  ●負けた分成長して横綱に/伸びる稽古させる

 ―大の里はもっと大勝ちすると思っていた。

 負けた理由は明確。次につながる負けなので、いろいろと教える。4勝3敗だけど、非常にいい場所だった。自分の若い時に似ている。そういうところまで、まねしなくていいよと思ったね(笑)。僕も負けた分だけ成長して、努力して最終的に横綱になった。メンタル、技術を鍛え、安定感が出れば、末恐ろしい相撲になる。

 ―安定感のある相撲を取るためには何が必要か。

 基礎運動あるのみ。まだまだ腰も割り切れていない。稽古でもつまらないことを楽しめるようになってくると、僕も横綱になれました。大の里はそれができると思う。維持する稽古じゃなく、右肩上がりに伸びていくような稽古をさせる。

 ―同時昇進となった大の里と高橋の関係について。

 上に上がって暴れまくって、どっちが今場所の優勝だろう、ってなるように頑張ってほしい。2人が部屋を引っ張って、いずれは大相撲も引っ張っていく存在になってもらいたい。

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