イワシ3千匹は「過密」 「いわし資料館」目玉展示の周遊水槽 動物愛護団体が批判、廃止求める 千葉・九十九里

「いわし資料館」で約3千匹のイワシが入る水槽=26日、九十九里町

 千葉・九十九里町教育委員会が管理しイワシ漁の歴史を紹介する「いわし資料館」の目玉展示で、約3千匹のイワシが周遊して泳ぐ水槽について、動物愛護活動を行うNPO法人「アニマルライツセンター」(東京都)は、過密と指摘して水槽での展示廃止を求めている。町は同法人の要求に「映像等の展示も視野に関係機関と今後の課題として協議する」などと答えた。

 同資料館は片貝漁港近くの観光施設「海の駅九十九里」内にある。水槽は施設の入口すぐ左に位置し、同町特産のイワシの泳ぐ姿を紹介している。「海の駅」は一般財団法人「千葉県観光公社」が指定管理者。

 同法人は市民から水槽についての連絡を受け「過密で不適切な飼育」と判断。4月に「生きたイワシの展示廃止」や「展示廃止まで飼育密度を下げること」をメールで要求し、死ぬイワシの割合も質問した。

 同町は5月に「貴重な意見を真摯(しんし)に受け止める。飼育密度に留意し、愛情を持って飼育する」などとし、映像展示も視野に入れ協議すると回答した。一方で、水槽管理を委託する県内の水産会社と来年3月末まで契約しており、展示内容を早急に変えることは難しいとした。

 水槽は横約4.5メートル、縦約1.9メートルの楕円形で、高さが約1.6メートル。イワシは年間で500匹程度が死に、可燃ごみとして処分しているという。町担当者は「このような要望があったのは初めて」と話し、対応を協議しているとした。

 同法人の岡田千尋代表は「(同水槽展示は)自然の中で過ごしているものではない」と話し、映像展示で自然の姿を見せる方が教育的意義が高いと指摘。改善されなければ改めて要望する方針。

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