駅で将棋倒し起きたら…多数の重症者を想定し訓練 4年ぶり柏まつり控え 市消防局など124人参加

JR柏駅で44人が将棋倒しになったと想定し行われた救助訓練=25日、柏市

 柏市のJR柏駅周辺で多くの人出で盛り上がる「柏まつり」(29、30日)が4年ぶりに開催されるのを前に、市消防局は25日、同駅構内の階段で乗客44人が将棋倒しになり多数の重症者が出たと想定し、救助訓練を行った。消防局や警察署員、駅員ら計124人が参加し、けがの程度に応じて負傷者を仕分けるトリアージや重症者の迅速な搬送などに取り組んだ。

 訓練は、ラッシュ時に開放される同駅臨時改札口を使い、まつり終了後に帰宅を急いだ乗客数人が足を滑らせ転倒し、ホームに入れず階段で待っていた乗客らが将棋倒しになったと想定。事故直後に、被害者の一部が改札外に出ようと殺到しパニック状態となることも考慮した。

 JR職員は、被害者役から事故発生を告げられると、落ち着いて対応するよう呼びかけるとともに応急救護を開始。「早く助けてくれ」など叫び声が響く中、近くのまつり本部から駆け付けた消防団員や柏署員らが、歩行可能な被害者らを改札外に誘導し、救護や身元確認を進めた。

 消防署員らが駆け付け、治療や搬送など優先順位を判断するトリアージや、止血帯の装着に対応。改札外には臨時の救護所が設けられ、続々と運ばれる重症者に点滴や酸素吸入装置の装着などを施した。

 柏まつりは約70万人の人出が見込まれる大型イベントで、同消防局は4年ぶり開催により来場者が増えると想定。昨年10月に韓国・ソウルの繁華街で将棋倒しにより280人以上が死傷する事故が起きたこともあり、柏まつりでは初の救助訓練を行った。

 同消防局の鈴木清副局長は訓練後に「狭い場所での被害者の搬送に課題が残った。関係機関と連携し、万が一に備えたい」と気を引き締めた。

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