投資や資産運用の本、図書館で予約途切れぬ大人気 福井市、常に数百冊が貸し出し中

お金にまつわる本を集めた特設コーナー=7月19日、福井県福井市みどり図書館

 福井県福井市の図書館で、投資や相続など「お金」にまつわる本の貸し出しが好調だ。物価高や政権が掲げる「貯蓄から投資へ」の流れを背景に、8月中旬まで設けている特設コーナーでは常に数百冊が貸し出し中といい、資産運用などを扱った本の一部は予約が途切れない人気ぶり。児童書でもお金を扱う関連書籍が年々増えているという。

 みどり、桜木、田原町ミニの市立3図書館では6月中旬から「考えよう! お金とミライ」と題した特設コーナーを設置している。例年期間は約1カ月だが、市民の関心の高まりを反映して約2カ月に伸ばし8月19日まで設けている。

 みどり図書館では、経済や住宅ローン、保険、年金など幅広く関連書籍約450冊をそろえたが、常に7割近くに当たる約300冊が貸し出されているという。特に2024年から制度が拡充される少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を扱った書籍は人気で、ほかにも著名人が執筆した関連書籍は常に予約が入っている状態だ。

 司書の岩城典子さんは「数年前の書籍ですら、一流作家の新作と同じくらい常に借りられているものもある。教科書のような、いわゆる入門書が多く手に取られている印象」と話す。ファミリー層や高齢層の利用が比較的多い図書館だが、資産運用などの関連書籍を求める20、30代も目立つようになったという。

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 22年から高校家庭科で金融教育が本格化したこともあり、市図書館で扱う金融関連の児童書は、ここ数年で100冊以上増えている。また、特設期間中、県金融広報委員会と企画した子ども向け金融講座は応募開始1時間も立たずに定員が埋まる盛況ぶりで、幅広い世代から関心を集めている。

 岩城さんは「ネットでは断片的にしか分からない情報を、本でしっかり学びたいという気持ちの表れが貸し出し状況にも表れている」と話し、人生設計などの助けとしても多くの来館を呼びかけている。

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