言葉や態度によって相手の人格や尊厳を傷つけ、自分の思い通りに動かそうとするモラルハラスメント。いわゆる「モラハラ」は、カップル間でもよく起こり得ます。
モラハラは、「心の暴力」「精神的DV」と言われています。
相手のどんな言動がモラハラ行為にあたるのでしょうか? そして、彼からモラハラを受けている場合の対処法は?
今回は、モラハラ解決相談所『Re:gene(リジェネ)』の所長、太田瑠美さんにお話を伺いました。
カップル間でよく起こるモラハラ事例
モラハラの特徴として、モラハラをする加害者は自身の行為がモラハラであることに自覚がなく、一方で被害者は自身が被害を受けていることに気づきにくい傾向があります。
特に恋愛中は、その傾向がより強くなります。彼氏の言動に違和感があっても、「君のために言って(やって)いるんだ」などと言われると、「私を愛しているからなのね」と受け入れてしまいやすくなるのです。
以下のような行為は、カップル間によくあるモラハラ事例です。
- 交友関係や職業の自由を奪う(制限しようとする)
- マイルールが多く、彼女にもそれを強要する
- 自分の思い通りにならないと物に八つ当たりをする
- 喧嘩になると相手が全面的に悪いと決めつけ、罵倒したり、説教する
- 相手の趣味や楽しみを否定する、馬鹿にする
- 常に上から目線で、見下すようなことをよく言う
- 気に入らないことがあると無視する
交際中の彼氏は、いくつか当てはまったでしょうか。
しかし、これらはほんの一例です。
どこからどこまでがモラハラなのかは、「本人がどのように感じたか」というところによって判断されます。
彼氏と一緒にいて「私が私らしい選択をできていない」「息苦しい」と感じるなら、それはモラハラを受けていると考えてよいでしょう。
彼氏からモラハラを受けやすい女性の共通点とは?
付き合っている彼からモラハラを受けやすい、そして受け入れてしまう女性の共通点としては、主に以下の2点が挙げられます。
1: 結婚や出産に焦りがある
結婚や出産に焦りがあると、多少の違和感も見逃しやすい傾向にあります。
「この人を逃したら、もう二度と結婚(出産)のチャンスはないかも」という焦りが、相手のモラハラ行為の大きな受け皿になってしまうのですね。
これまでは普通の男性としかお付き合いしたことなかったのに、モラハラ彼氏と付き合うことになってしまったという方は、このケースが多いです。
2: 自分の気持ち(本心)を抑える傾向がある
幼少期から自分の気持ち(本心)を抑えて周りに合わせて生きてきた人は、モラハラするような彼氏を引き寄せてしまいがちです。
自分と他者の境界が曖昧になりがちなので、「これ以上は立ち入ってこないで」「そういうことをされる(言われる)のは嫌」がはっきり告げられず、モラハラ行為を受け入れてしまうのです。
前項の1と違って、なぜか付き合う男性にモラハラが多い(モラハラする彼氏しかいない)という場合は、かなりの確率でこのケースが当てはまる印象です。
彼氏から「モラハラを受けている」と感じたら…
結婚や出産への焦りから彼氏のモラハラを受け入れてしまっている場合は、やはり一度立ち止まってみることが大切です。
友人や家族などに彼を紹介した際、「あの人はやめといたほうがいいんじゃない?」などの忠告を受けたときは、真摯に考えるチャンス。
とはいえ、モラハラをする男性の中には、『外で悪いところを見せようとせず、良い人と言われるように振る舞う』という特徴を持つ人もとても多いです。
外で見せる顔と、自分に見せる顔に大きな乖離があるなら、それも注意したほうがいいポイントでしょう。
自分の気持ち(本心)を抑える傾向がある場合は、普段から自分の気持ちをよく見る、感じるようにする癖をつけることが大切です。
モラハラを受けている側が自分の気持ちに敏感になり、嫌なことを言われたりされたりした時に「これ以上はあなたでも立ち入ってほしくない」「そういうことをされて(言われて)、私はすごく傷ついた」と伝えていくことで、モラハラをしている側が自分の加害行為に気づくこともあります。
とはいえ、彼氏に自分の気持ちを伝えるのが怖い、伝えるのに大きな勇気がいることもありますよね。
当事者同士で解決するには難しいケースも多々あるので、一人で抱え込まず、モラハラ問題に詳しい専門家(カウンセラー)に相談し、第三者を交えて話し合いの機会を持つことはとても有効な手立てになります。
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モラハラは決して解決不可能な問題ではありません。
今回取材にご協力いただいた太田瑠美さんは、モラハラ解決相談所の所長として、これまで1300件以上の夫婦・カップルの相談に乗り、解決に導いてきました。
彼とのコミュニケーションで苦痛を感じている方は、カップル間のモラハラ問題についてホームページでもたくさん言及されていますので、ぜひご覧になってみてくださいね。
【取材協力】太田瑠美(おおた るみ)
モラハラ解決相談所『Re:gene(リジェネ)』所長。
自身もかつて夫によるモラハラに悩んでいたが、1年がかりで修復。
2015年より「同じ思いで苦しんでいる人の助けになれれば」と活動を開始。現在までに約1300件を超す相談を受け、解決に導く。その活動が、産経新聞・神戸新聞・NHKほっと関西など、全国のメディアに取り上げられ、反響を呼んでいる。
(mimot.(ミモット)/ 黄本 恵子)