真鶴、9月にリコール投票へ 本請求も町長は辞職を拒否 神奈川では17年ぶり、戦後4例目

リコールの本請求を受け、会見で質問に答える松本町長=27日午後2時ごろ、真鶴町役場

 神奈川県真鶴町の選挙人名簿を自らの町長選に不正利用するなどした松本一彦町長のリコール(解職請求)を求める住民団体は27日、全有権者6217人(6月1日現在)の3分の1を超す2350筆の署名を町選挙管理委員会に提出し、リコールを本請求した。松本町長は「問題のある署名集めが行われた」と辞職を否定しており、解職の是非を問う住民投票の実施が確実となった。2021年10月に問題が発覚して以来いまだ混乱が続く中、9月にも住民の審判を仰ぐ事態となった。

 首長を対象としたリコールの住民投票は、県内では06年の城山町(現・相模原市)以来17年ぶりの実施となり、戦後4例目。住民投票で過半数が解職に賛成すれば松本氏は失職し、50日以内に町長選が行われる。町長選が実施されれば3年間で3回目となる。

 この日の本請求に先立ち、町選管は松本町長から異議申し立てがあった署名35件(58筆)を審査。家族間での代筆などを理由に12件(12筆)を署名簿から削除し、2350筆を確定した。署名簿の返還を受けて団体側が即日、本請求した。

 住民団体「真鶴の未来をつくる会」の青木厳会長は「一つ一つを積み重ね、この日を迎えられた。2千人を超える町民のメッセージを受け止めてほしい」として松本氏の辞職を求めた。

 一方、松本氏は同日会見を開き「自分の目で見て無効署名があったのだから、署名簿全体ではさらに多くの無効署名があるのでは」と疑義を呈した。自身の進退については「資格を失うまで責任を果たす」と述べ、改めて辞職を否定した。

 住民投票は本請求から60日以内に行われ、投開票日の20日前に告示される。町選管が今後日程を決めるが、関係者によると9月4日告示、同24日投開票が有力視されているという。

 松本氏は町職員時代の20年に選挙人名簿を複写して持ち出した。21年10月の問題発覚後に辞職したが、同12月の出直し町長選で再選。職員の退職が相次ぐなど町政は混乱が続いている。

© 株式会社神奈川新聞社